やる気が出る仕組みを社を挙げてつくり出す

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

駐車場（P-CLUB）やマンションの運営管理などを行うイーエスプランニング。同社が推進するワーク・ライフ・バランス（WLB）は「やる気が出る仕組みづくり」。社員一人一人が働きがいを感じ、やる気が向上する環境をつくり出すことで、離職率や残業時間の激減につながりました。

社員が常に働き方を考える

　阪神間で114カ所、約5,400台分の駐車場を運営管理する同社。経営理念の一つに掲げる「豊かな人生を求め 共に働き 共に育つ」を実現するため、WLBの取組を進めています。
　「まずは社員一人一人が豊かにならないといけません。そのためには、自身が成長しているという実感と報酬アップが必要不可欠。この2つを得られるような仕組みづくりが、われわれ流のワーク・ライフ・バランスです」と藤岡義己社長は話します。
　中でも特徴的なのは、社員自身がその時々の状況に合わせて働き方を考えることです。チームリーダーと1対1で面談する「1on1ミーティング」を月1回実施し、「とにかく稼ぎたい。今は仕事を思い切りしたい」「家族との時間を大切にしたい」など、各自がその時の気持ちを伝えます。そして、それに合わせた働き方をチームリーダーと検討します。「伸ばしたい個性や特性を生かせる場を一緒に考えたり、資格の取得や有料の研修を勧めたりと、個人にものすごくフォーカスします」と駐車場事業部の副主任を務める中野華奈さん。
　また、面談内容をもとに社員が「プロセスシート」を作成。個人の特性、希望に沿った目標を6カ月分、1カ月単位で立て、毎月の「1on1ミーティング」で見直します。
　各自の目標の達成具合は、チームリーダーが毎朝のチームごとのミーティングや週1回のリーダーミーティングでチェック。そして、年に3回、チームリーダーとの評価面談が行われ、個人評価表が手渡されます。社員には評価に応じた賃金を明確に記した「評価賃金ハンドブック」が配布されているので、給料の中身がよく分かります。一連の流れを繰り返しながら、自身の将来の目標に近づいていくのです。社員からは、「キャリアプランが立てやすくなった」「給料の見える化で公平性が生まれた」「仕事のモチベーションが上がる」といった声が届いています。

各種支援制度が充実

　同社では、「女性の力を発揮できる環境を整え、女性に選ばれる会社にしたい」との藤岡社長の強い思いから、2年前、契約社員だった女性のほとんどを正社員にしました。同時に育児中の女性社員のために時短勤務制度を取り入れました。
　そのほか、車や住宅の購入資金を補助する車両・住宅応援制度や、大学時代に受けた奨学金の返済を補助する奨学金返済支援制度を導入し、金銭面でも社員の生活をバックアップ。資格取得応援制度では、宅地建物取引士やメンタルヘルストレーナーなど、さまざまな資格を取得するための受講料や受験料を支援しています。
　家族を招待しての食事会や新年会、ボウリング大会などの社内イベントは、すでに同社の名物行事に。イベントでのコミュニケーションを通してアットホームな社風が育まれています。「入社したら社員の仲が良くて驚いた」という新入社員もいるそうです。

離職率30％が10％に激減

　こうした取組の結果、2016年に約30％だった離職率が19年には10％に激減。また、有人駐車場とコインパーキングを担当しているチームに、9時から18時勤務と13時から22時勤務の2交代制を18年に導入したことが奏功し、17年は月に1人平均20時間だった時間外労働が19年には2時間に削減されました。売り上げも右肩上がりを持続中です。「わが社流の『やる気が出る仕組みづくり』が、仕事への意欲と効率を上げ、結果的に売り
上げアップにつながったのだと思います」と中野さんは分析します。
　同社の願いは、多くの人に「働きたい」と選んでもらえる会社に成長すること。「そのためにも地元の役に立つ企業であること、そして、将来にわたって社員とその家族を支えられる会社であり続けることが重要」と藤岡社長。今後も、社員がやりがいと安心感を持って働ける環境づくりにまい進します。