自分を磨き高めながら仕事ができる環境づくり

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

明石市を中心に、障害福祉サービス事業を展開する同法人。「自分たちを高める」「磨き続ける」という理念に従い、仕事を充実させるためのきめ細かい研修制度と、互いを高め合える人事評価システムの実施、働きやすく休みやすい環境づくりに取り組んでいます。

研修や資格取得支援に注力

　通所施設やグループホームなど、21事業所を抱える同法人。社会問題ともいえる福祉業界の人材不足を解消するために、毎年の研修・資格取得支援費用に収益の約1％を充てることを目指しています。理事長の松本将八さんの「人材不足から無資格・未経験者の採用が多いが、学べる環境が整っていればやりがいのある仕事になる」という考えから、人材育成に積極的に取り組んでいます。
　人を育てるには、未経験でも知識や技術を習得しやすい研修制度が欠かせません。そこで、2023年度からOJT研修の内容を一新しました。パートから管理者まで全員が3カ月先、半年〜1年先の目標を設定。役職、職種、経験年数の近い3〜9人のグループを作り、毎月、目標達成に関する自己評価を発表し合います。その場では、メンバー間で他の人に対する評価も行います。上司とではなく、立場の近い者同士で肯定的な意見交換を行うことで、互いに成長していくことが狙い。半年、1年後には目標の再設定を行います。
　また、OJT以外にも多様な研修制度や資格取得支援制度を用意しています。介護職員初任者研修、実務者研修を受講し、さらに介護福祉士の資格取得へと、次々とステップアップしていくケースも多く、働き始めてから介護福祉士に合格した職員は19人。その他社会福祉士や保育士等の国家資格の合格者も10人に上ります。職員のステップアップは収益アップにもつながっています。

新しい人事評価システムを導入

　働きやすい環境づくりの一環として、2019年に新しい人事評価システムを導入しました。一般的な人事評価と違い、職員同士が認め合い、褒め合うことに重きを置いたシステムです。年3回、全職員にアンケート用紙を配布し、「笑顔が多い人」「専門的な知識を持っている人」「今輝いている人」などの13項目において、別々の職員の名前を記入、投票します。結果は全体で共有し、上位を獲得した人に記念品を贈呈。1位を3度取ると周年記念式典で表彰されます。結果を公表することでそれぞれのモチベーションアップにつながり、他事業所の職員のことを知るきっかけにもなっています。
　職員同士仲が良く、非常に風通しがいいのも同法人の特長です。2010年からは、毎年周年記念としてホテルでの食事会や海岸でのバーベキューを実施。家族も含めた100人超が集まり、交流を深めています。

急な休みを互いにカバー

　同法人は、子どもに障害があったり、小さな子どもがいたりする職員が多く、休みやすい環境づくりが必要でした。「どれほど『気にせず休んで』と伝えても、休みづらいと感じる人が多かったようです。私自身も同じ経験をしているので、何とかしたいと思いました」と経営企画課の吉田尚子さんは話します。対策として行ったのは、「こぐま人材バンク」と名付けたコミュニケーションツールの活用。事前に勤務可能な曜日を共有し、急な休みを互いにカバーし合えるシステムです。日頃から職員同士の交流を図っていることで、他事業所への代理出勤も抵抗なく引き受けてもらえるそうです。
　その他にも短時間正社員制度の導入、企業主導型保育所の完備などを通じて、仕事と生活を両立できるよう配慮。今後は趣味や余暇を充実させるために各種サークル活動を計画中です。「理念の通り、仕事で自分たちを高め、磨き続けながら、個々人の生活も充実させることを常に目指しています。既存の制度も職員の皆さんが望む形に合わせてどんどん改良し、より働きやすい職場づくりを進めていきたいと思います」と副理事長の中山桂子さん。ワーク・ライフ・バランスの取組は、これからも進化を目指します。