社内保育所設置で働きやすく　男性の育児休業取得も増加

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

目標に掲げるのは、仕事と生活を両立させる働き方を全社員に浸透させること。神戸市西区の研究所事務棟内に社内保育所を整備するなど女性社員が出産した後も復帰しやすい環境を整える一方、男性社員には育児参加の重要性を伝えて育児休業取得者を増やしつつあります。

男性の利用も多い社内保育所

　同社は遺伝子工学などのバイオ技術を用いて、希少疾病や難病に特化した医薬品開発に取り組んでいます。女性社員の比率が年々増え、今では社員全体の37％を占めています。
　女性社員が出産後も安心して職場復帰できるように、2015年11月、神戸市西区にある研究所事務棟2階に「キッズランド」を開設しました。対象年齢は生後6カ月から小学校就学前までで、通常保育のほか一時保育も受け入れています。女性社員ばかりでなく男性社員の利用も多く、現在、月決め保育を利用している社員は10人で、一時保育をいつでも利用できる登録者は50人に上っています。キッズランド整備の効果もあり、2020年度の育児休業からの復帰率は100％を達成しています。

仕事と生活を両立する働き方へ

　仕事と生活の両立は、当人だけの努力では成し得ません。全社員が、子育てをはじめ生活で直面する事象に対する想像力を働かせて生活と仕事を両立させる働き方を実践し、働きやすい風土を醸成することが大切です。
　そこで、まずは男性社員に育児参加の重要性を理解してもらおうと、さまざまな取組を進めています。
　新たに管理職に就いた社員への研修では、管理職自らが率先して育児休業を取得したり、部下に育児休業取得を促したりできるよう「イクボス研修」を取り入れています。育児中の心構えなどを伝えるための研修「子育て応援カフェ」に参加した男性社員が、男性の育児参加の重要性を学び、育児休業取得につながった事例もあります。また、社内報で育児休業に関する制度や取得事例を紹介しているほか、相談窓口を設置し、気軽に育児休業取得について相談できる体制を整えています。
　こうした取組の結果、2015年度にはゼロだった男性の育児休業取得者は2018年度以降、毎年度1～6人に。ある男性社員は、まず1人目の子どもが生まれた直後に2カ月の育児休業を取得。2人目の時は、出産直後に1カ月、さらに妻が職場復帰するタイミングで1カ月と、2回に分けて取得しました。「1人目の教訓を踏まえ、職場復帰時にこそ支えが必要であることを理解し、2回に分けて取得したようです」と、人事企画部の柏原理沙さんは話します。

在宅勤務でさらに働きやすく

　2020年初頭来の新型コロナウイルス感染拡大に対しては、安心して働ける職場環境の整備に向け新型コロナウイルス感染症対策チームを発足。マスクの配布に始まり、アクリル板の設置、社員専用バスの運行、2週間に一度の抗原検査の実施などに取り組みました。また、以前から導入の検討を進めていた在宅勤務についてはコロナ禍において早急に制度を整えました。各種申請書類のペーパーレス化を推進し、押印なしで稟議書を回す仕組みも整えるなど業務のスピード化にもつながりました。また、全社員にモバイルPCやスマートフォンを支給したり、チャットツールを導入したりすることで在宅勤務においても社員同士スムーズにコミュニケーションが取れる環境を整えました。
　在宅勤務の導入は育児との両立においてもメリットを生みました。「通勤時間を削減できるので時間を有効に活用できます。子育て中の社員にとっては非常にありがたいです」と、小学生の子どもが2人いる人事企画部課長の渡利綾子さんは話します。時短勤務の社員がフルタイム勤務に移行したケースもあるそうです。
　同社では事業の成長とともに社員数が急増しており、またグローバル化も加速しつつあります。渡利さんは、「場所や時間にとらわれない働き方をより推進していくとともに、多様な人材が互いの違いを認め合い、個性を生かして活躍できる風土の醸成にも努めたい」と、今後の目指す姿について語っています。