女性や若手チームの声で制度や働き方を改革

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

神戸・阪神間を中心に不動産デベロッパーとして地域発展の一翼を担う神鋼不動産。女性や若手チームの提言が経営層に直接届き、女性の活躍推進や生産性の向上に反映されています。長く、積極的に働ける会社へと、トップダウンで長時間労働の抑止や休暇の取得促進、健康面のフォローにも取り組んでいます。

女性の女性による女性のための改革

　女性活躍推進に向け、各部・各年齢層の女性を中心とした13人によるプロジェクトチームが発足したのは2013年度。月に1度のミーティングのほか、女性社員に意見を聞き、アンケートの実施などに取り組みました。
　人事部で人事グループ長を務める山本佳代子さんによると、大きな成果は14年度に行った職種制度・コース転換制度の見直しだといいます。1年以上かけて議論を重ねた結果、社内制度の改革につながりました。
　それまでの職制は、管理職になることが期待される総合職、専門職、一般職の3つに分類され、女性は一般職が多く、専門職を経ずに総合職になるには高いハードルがありました。それを総合職、基幹職の2つに集約したことで、総合職、さらには管理職を目指す女性が一気に増加。13年度、女性社員75人のうち管理職は5人（登用率4.5％）だったのに対し、20年度は93人のうち25人（同17.2％）まで増えています。
　「総合職を目指す女性が1年かけて課題に取り組む制度を導入するなど、女性自身の意識改革も必要でした。子育てをしながら働いてもらえる環境をさらに整えたいと考えています」と山本グループ長は話します。
　女性社員の育児休業取得率100％（10～19年度、取得者21人）に加えて、男性社員の育児休業取得も増え、2020年度は対象の4人全員が取得する予定です。自身の意識はもとより、職場の雰囲気や上司の理解、周囲のフォローが取得を後押ししています。

補助制度や同好会で余暇の充実を

　社員の健康を守る取組も進んでいます。休暇の取得促進を呼び掛けだけで終わらせず、制度化を図りました。2016年度に10日間の有給休暇取得奨励日を制定し、19年度には5日間の計画有給休暇制度を制定、入社1年目から20日の有給休暇を付与しました。これにより、1人当たりの有給休暇の平均取得日数は15年度の14.3日から19年度は17.9日になりました。
　では、増えた休暇をどう過ごすか。同社が打ち出したのは「カフェテリアプラン」と、同好会への補助制度です。前者は余暇の充実に年間1人5万円を支給する制度で、旅行をする、スポーツを楽しむ、テーマパークで遊ぶ、エステでリフレッシュするなどから、人間ドックや介護・育児関係まで対象は幅広く設定されています。
　人事部で企画グループ長を務める八木祐二さんは「全社員に休暇を十分に取ってほしい。そして、遊びに趣味に豊かな時間を過ごして活力をつけてほしいという思いです」と話します。八木さんは釣り同好会と野球同好会に入っており、先日も船をチャーターして釣りを楽しんだとか。同好会活動に対しては年間1人1万3,000円が支給されます。

仕事の効率を重視しレイアウト変更

　若手社員10人によるチャレンジ会議が発足したのは2016年度のことです。女性チームと同様、1年かけて議論し、コロナ禍で注目されている電子承認決裁やペーパーレス会議をいち早く経営層に提言、改革につなげてきました。
　若手の声を反映し、目に見えて変わったのが事務所レイアウトです。17年度、さらに19年度に、各部署を隔てていたパーテーションをなくす、ブースを増やす、各室にモニターを設置する、オープンスペースを設けるなど、仕事のしやすさを考えたレイアウトになりました。
　コロナ禍では在宅勤務の拡大に取り組み、出社率は5割にとどめ、2020年11月からテレーワークを正式導入しました。年間を通じ、ネクタイ不要のドレスコードフリーにするなど、働き方が大きく変容する中、より柔軟に働ける企業へと先を見据え歩みを加速させています。