休暇奨励や女性活躍推進で従業員満足度がアップ

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

業務用食品専業卸業界でトップシェアを占めるトーホーグループ。「企業は人なり」という考えの下、人事・ 給与制度の改革や人材育成に取り組んできました。近年は、休暇を取得しやすくするための方策を推進し ているほか、女性の活躍推進にも力を注いでいます。

休暇を前向きに捉えて楽しむ

　同社は「家族と過ごす時間をしっかりと確保し、子育てをしやすい職場環境や労働形態を整えることで、従業員満足度を高め、会社の業績向上と少子高齢社会への社会貢献を果たす」ことを目的に、ワーク・ライフ・バランスの取組を進めています。中でも現在注力しているのが「ポジティブ・オフ運動」に基づく休暇の取得推と、
「トーホー・ポジティブ・アクション（TPA）推進プロジェクト」に基づく女性活躍の推進です。
　「ポジティブ・オフ運動」とは、観光庁が提唱しているもので、休暇を取得して外出や旅行を楽しむことを積極的に促進し、休暇（オフ）を前向き（ポジティブ）に捉えて楽しもうという思いが込められています。
　同社が掲げるキーワードは「前向きに休日を取得し、充実した余暇を過ごす」。具体的には、5日以上の連続休暇の取得を推奨しています。また、年間3日を目途に、事前に計画した日に年次有給休暇を取得する制度を導入。あらかじめ決めておくことで、ためらいを感じることなく休暇が取れるようにしたものです。これらの取組の結果、1人当たりの有給休暇の平均取得日数は、2016年度の5.7日から2017年度は6.8日に増えました。
　また、消滅する有給休暇のうち40日を限度に積み立てを行い、育児や介護、病気療養などのために利用できる独自の積立有給休暇制度も導入しています。人事企画グループ長の増谷隆弘さんは「特に男性社員に、育児のための休暇として活用してもらいたい。どんどん取得を促していきたい」と話します。

一般職・総合職の区分を廃止

　一方、「女性の活躍なくしてトーホーグループの成長なし」をスローガンに掲げ、2013年度に「トーホー・ポジティブ・アクション（TPA）推進プロジェクトⅡ」がスタートしました。TPAは、女性も男性も同じように自分の能力を発揮できる職場環境づくりを目指し、2005年にプロジェクトⅠに着手。Ⅱはその発展型で、「育成・登用」「職域拡大」「意識改革」の3領域を中心に、女性の活躍を支援する環境づくりに努めています。
　まず、一般職と総合職の区分を廃止しました。それまで女性社員の大半は一般職として採用され、ごく一部しか総合職にステップアップすることができなかったため、その枠を取り払うのが狙いです。
　人事企画グループの太田麻里さんも以前は一般職でした。「一般職は職能資格がある段階で止まってしまい、それ以上昇格することはできませんでした。今は頑張ればその分昇格することができるようになりました。モチベーションが大きく変わり、将来が開けたような気がしました」と言います。

成長したい気持ちを後押し

　ステップアップしたいという女性社員の思いを後押しするため、教育にも注力しています。女性社員を対象に行っている管理職育成を目的としたマネジメント研修のほか、長期的にキャリア展望が描けるように、キャリア意識の醸成・形成支援をテーマにしたセミナーも開催しています。
　また、女性の管理職等への登用も積極的に進めており、2013年には管理職・リーダー職候補が10人、リーダー職が4人、管理職が3人でしたが、2017年はそれぞれ37人、13人、8人に増加しました。2020年には、リー
ダー職、管理職ともに現在の倍以上に増やす目標を掲げています。
　こうした取組の結果、従業員満足度調査では満足度が右肩上がりに上昇しています。さらなるワーク・ライフ・バランス向上のため、同社では、社員の高齢化を踏まえ、病気と仕事の両立支援や60歳以上のシニア世代の雇用形態見直しにも取り組んでいく予定です。