社員の幸せを願い自然体でWLBを実現

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

「社員もお取引先も地域の方々も、みんなが笑顔になってほしい」という思いが込められた“笑売”の考え方を受け継いできた広田薬局。社員たちの思いを酌みながら働きやすい環境を整えた結果、互いを思いやり、支え合う温かい職場を実現。心のこもった真のサービスを提供し、地域の人たちに喜ばれています。

社員を思う気持ちを代々継承

　南あわじ市で、調剤薬局3店舗と化粧品を扱う1店舗を展開する同社。離島である沼島（ぬしま）へも週に2回出張マッサージに出掛けるなど、地域に根差した事業を行っています。
　取締役の村松真江さんの祖父が始めた小さな薬局がルーツで、屋号は創業した場所の地名から付けられました。後を継いだ村松さんの父は、卸やメーカー、社員など関わる人たちと家族のように接し、“笑売”の考え方も踏襲していたそうです。「今日もご来店くださる地域の方がいる。働きに来てくれるスタッフがいる。商品を供給して、情報を教えてくれるメーカーや卸がいる。ありがたい話や、とよく口にしていました」と振り返ります。
　村松さんがそんな父親から会社を受け継ぎ社長に就任したのは2006年。大阪で栄養士として働いていましたが、父親の急逝により実家に戻ってきたのです。すぐにやってきた給料日には、給料袋に手紙を添えて手渡しし、同時に2つのことを社員に約束しました。
　「皆さまが真のサービスを患者さま、お客さまに提供できるよう私がバックアップする」「皆さまが真のサービスと思いながら提供したサービスに対し、もし苦情が出た場合には私が全面的に責任を取る」
　真のサービスとは、サービスを受ける側と提供する側のどちらも心地よいサービスのこと。以来、社員が満足し、誇りと安心感を持って働ける環境づくりに努めています。

誇りと安心感を持って働ける環境に

　その一つは、社員の負担を少しでも減らすことです。患者への説明資料の作成や駐車場の草引きなど、専門職でなくてもできる仕事は分担。そして、分薬計量ロボットを導入し作業の効率化を図りました。
　また、新たな知識を得るための勉強会や学会への参加について社員から希望があれば、シフトを調整し、参
加費を会社が負担しています。さらに、調剤薬局には珍しい休憩室を設けています。こたつやテレビが置かれたくつろげる空間はリフレッシュできる場であるとともに、社員同士のコミュニケーションの場になっています。
　社員一人一人の声をすくい上げるために活用しているのが、社長と現場の交換ノートです。何か困っていることや要望があれば社員たちはノートに書き、それを社長がチェックして、解決できることはその都度対応します。他の社員の目に触れたくない場合はメールで受けています。きめ細かい対応によって、社員間のわだかまりが解けたことは一度ではありません。給料を前倒しで支給したケースもあるそうです。

育児中の社員のため託児所開設

　社長に就任してから、結婚、出産をし、「事務所にベビーベッドを持ち込んで働いた」という村松さん。その経験から、小さい子どもを持つ女性薬剤師を採用した際に本店の2階に託児所を整備しました。
　社員を思う気持ちを形にしてきた結果、自然と仲間を思いやる組織になりました。互いの家族の状況まで知っており、受験生の子ども、病院通いの親を持つ人にはおのずと配慮が働きます。
　また、子育てサークルに出向いて薬の飲ませ方などをアドバイスするママサポート薬剤師として活動する人や、施設に出向き認知症に効果があるメイクセラピーを実施する人には、それも仕事と位置付け、勤務時間内の活動を認めているそうです。
　2年前に、村松さんの義弟である岡田真人さんが社長に就任。岡田社長は就任した際に「お客さまに健康と満足を提供し続けるためには社員も満足していなければならない。誇りと安心感を持って働ける環境をつくり、働く人とその家族の幸福を目指します」と宣言しました。創業時から築かれてきた社員を大切にする思いはしっかりと受け継がれています。