WLB取り組み調査結果
ワーク・ライフ・バランスの取組に関するアンケート調査結果
9割以上の企業が「有給休暇の取得促進」「業務効率の向上」「超過勤務の縮減」に取り組む。テレワーク制度は47.9%の企業が導入。コロナ禍を契機にオンライン会議等の取組が進む
公益財団法人兵庫県勤労福祉協会ひょうご仕事と生活センターでは、ワーク・ライフ・バランス(WLB)宣言・認定・表彰企業を対象に、WLBの取組状況、取組前と現在の状況の変化やセンターへの要望等について調査を実施し、このたびその調査結果をまとめました。
今回の調査結果を、今後のひょうご仕事と生活センターにおける活動や、企業の「新たなワークスタイルの創造」を支援するための施策に反映し、県内企業のさらなるWLBの取組・拡大につなげてまいります。
Ⅰ 調査の概要
1 調査対象
宣言企業・認定企業・表彰企業
※宣言企業:WLBに取り組むことを宣言した企業
※認定企業:宣言企業のうち、WLBに積極的に取り組み、一定の成果をあげている企業
※表彰企業:認定企業のうち、先導的な取組で成果をあげ、他の模範となる企業
2 調査方法
- アンケート調査票をメールで送付・回答
3 有効回答数(計303社)
- 認定・表彰企業:94社(対象数293社:回答率32.1%)
- 宣言企業:209社(対象数1,708社:回答率12.2%)
※対象数にはメールがエラーで届かなかった分も含むため、実際の回答率とは異なる
回答企業の 規模別割合 | 認定・表彰企業 | 宣言企業 | 計 |
---|---|---|---|
29人以下 | 20 | 115 | 135 |
30人~49人 | 12 | 30 | 42 |
50人~99人 | 22 | 22 | 44 |
100人~299人 | 23 | 31 | 54 |
300人以上 | 17 |
11 | 28 |
合 計 | 94 | 209 | 303 |
Ⅱ 調査結果の概要
1 現在のWLB取組状況
「有給休暇の促進」、「業務効率の向上」、「超過勤務の縮減」は9割以上が、「社内コミュニケーションの活性化」は8割以上の企業が取り組んでいる。「仕事と育児の両立」、「仕事と介護の両立」、「柔軟な勤務時間・体制等」、「従業員の健康保持・増進」、「人事評価制度見直し」への取り組みは、いずれも認定・表彰企業の方が、宣言企業と比べて10ポイント以上高い。
2 テレワーク等の導入状況
「テレワーク」制度の導入は、認定・表彰企業が59.6%、宣言企業が42.6%で、全体では47.9%。今後取組予定を含めると全体では61.4%だった。形態は「在宅勤務」が多く、従事割合は30%未満が全体の3/4。実施企業の76.5%が「継続する」と回答し、「継続しない」は4.1%だった。「ワーケーション」に取り組んでいる企業は全体で2.6%。但し、今後取組予定は13.5%あり、環境が整えば、増加が見込める働き方であると言える。
3 WLBの取組を進める上での課題(複数回答可)
多くの企業が「特定の人に仕事が偏る」、「社員間で意識が違う」、「部署・職種で制度利用に差がある」ことを課題と考えている。「業界業種特有の事情」、「制度利用者の人事評価」、「自社に必要な取組が分からない」を課題としているのは、認定・表彰企業と比べて宣言企業の方が多いことから、取組を進めることで課題が解消する可能性がある事がうかがえる。
4 WLB取組前と現在の変化
「良くなった」との回答は「有給休暇取得」が最も多く、次いで「超過勤務」、「業務効率・生産性」となっている。その他の項目を含め、いずれも認定・表彰企業の方が宣言企業よりも「良くなった」との回答が多い。
5 WLB取組前と現在の変化の理由(複数回答可)
「超過勤務」、「業務効率・生産性」、「有給休暇取得」は、認定・表彰企業の約半数が「WLBに取り組んだから良くなった」と回答。業績以外の項目は、いずれも認定・表彰企業の方が約20ポイント高く、WLB取組の成果を実感しているといえる。「働き方改革関連法への対応で良くなった」ことは「有給休暇取得」、「超過勤務」が多くなっているが、認定・表彰企業と宣言企業の差は少ない。
6 コロナ感染拡大に伴う影響
コロナ感染拡大前より「超過勤務」、「業務効率・生産性」、「有給休暇取得」は「良くなった」とする企業が「悪くなった」とする企業よりも多かった。「業績」は「悪くなった」とする企業が全体の約1/4を占めた。
7 コロナ禍で新たに取り組んだことや工夫していること(自由記述)
195社から270件の回答が得られた。「オンラインでの会議、研修、採用面接、商談」が71社と最も多く、次いで「テレワークの実施」(53社)、「安全対策の徹底」(50社)となっている。仕事量が減少したのを機に業務改善を図った企業もあった。
8 センターによる支援の希望(自由記述)
117社から119件の意見が寄せられた。「他社事例を知りたい」(23社)が最も多く、次いで「助成金に対する要望」(16社)、「新たな取組・制度・仕組みへの助言・指導」(16社)、「研修、専門家派遣」(15社)となっている。また、「既存制度で満足」も13社あった。
Ⅲ 調査結果の活用
1 認定をめざす企業への支援を強化
今回の調査では、認定・表彰企業の方が宣言企業と比べ、「業績」をはじめ「離職率」、「求人応募」、「従業員のモチベーション」などでも、WLB取組前と比べ「良くなった」との回答が多く、WLBの実践が経営戦略としても重要であることが分かった。今後は、宣言企業の実態や課題に応じたきめ細やかなサポートを行い、より多くの企業が認定企業となるよう、WLB取組の支援をより強化する。
2 テレワーク推進のためのICTアドバイザー派遣、環境整備支援助成金の活用
テレワーク導入は業務上むずかしいとする企業や、部署が限定されるなど課題を持つ企業もあった。センターのICTアドバイザーを派遣し、システムの構築・運用などの支援に取り組む。また、在宅勤務に必要な機器購入費などを助成する環境整備支援助成金の活用を進める。
3 センターHP、広報誌等での企業の取組事例紹介やセミナー開催で企業支援をさらに推進
センターへの要望で多かった「他社事例を知りたい」という声に応えるとともに、多くの企業がWLB取組推進の課題として挙げている「特定の人に業務が偏る」、「社員間の意識が違う」、「部署・職種で制度利用に差がある」をテーマにセミナーを開催する等、調査結果を活用し、より企業の実情に合った支援を進める。