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神戸地域セミナー in 2014 ワーク・ライフ・バランス「女性活躍」のいまを考える

フェスタセンター主催事業 投稿日2014.9.17

開催要項

9月16日に尼崎市中小企業センターで「尼崎地域セミナー2014 経営戦略としてのワーク・ライフ・バランス」が、翌17日には県立男女共同参画センターで「神戸地域セミナー ワーク・ライフ・バランス『女性活躍』のいまを考える」が、それぞれ地域の事業所の経営者や人事担当者を対象に開催されました。女性が無理なく働け、活躍できる会社とは―。経営側が行うべき取り組みを、基調講演と女性の活躍推進に取り組む先進企業の代表者によるパネルトークで探りました。

 

開催日・場所

平成26年9月17日・県立男女共同参画センター

基調講演

テーマ 本気の女性活用』による企業力向上

講演者

リクルートワークス研究所 主任研究員 石原直子氏

事例紹介・パネルトーク

コーディネーター ひょうご仕事と生活センター 上席相談員 北尾真理子氏

パネリスト A兵庫六甲 生活文化事業部ゼネラルマネージャー 高塚登志代氏

バンドー化学株式会社 人事部主事 笠屋由里氏

 基調講演『本気の女性活用』による企業力向上

 

リクルートワークス研究所 主任研究員 石原直子氏

皆さんの会社は、ワーク・ライフ・バランス施策を導入していますか。また、それに掛かるコストを把握していますか。
企業の大小に関係なく、ワーク・ライフ・バランスの推進が一般的になりつつあります。しかし、その取り組みに掛かる費用を上回る利益を得られていないのではないでしょうか。
女性の活躍推進については、1986年から、労働上の男女差別の撤廃や労働人口の確保、少子化対策を目的に、育児休業や短時間勤務制度といった、育児と仕事を両立する女性を支援する制度が充実してきました。ところが、結婚や出産をしていない女性や男性にしわ寄せがいき、ここ1、2年は周りの人が疲弊してきています。「ワーキングマザーにもう少し頑張ってと言いづらい」「育休後に戻ってくる人は100%になったけど、正直しんどい」という声も耳にしました。
一方で、管理職や取締役に就く女性の数にはほとんど変化がみられません。他の先進国と比較すると10分の1程度とその差は大きく、中途半端にしか女性を活用できていないのが現状です。女性が働き続けられる環境を整えると同時に、活躍する女性を増やすことが重要だと思います。女性の力をいち早く、十分に活用し、女性に選ばれる会社になるのはどこか、その競争はすでに始まっていると言えます。

 

女性の活躍が企業にとってなぜいいのかというと、商品購入の最終的な判断をするのは女性の場合が多く、商品の生産・販売に当たっては女性ならではの視点が求められるからです。加えて、異なった観点や意見を持つ人を重要な意思決定の場に入れることで、致命的な判断ミスを防ぐことができ、経営上のリスク回避につながるといったメリットもあります。差別なく能力の高い人を評価することは、ダイバーシティの考え方が進む海外で事業を展開する際に、信頼の構築に繋がります。

 

では、企業側がどう取り組めばいいのかを紹介します。結婚や出産を迎える30歳前後までに、約5年で一人前に育ててください。復帰後にすぐに活躍できるよう能力を高めておくことで、その後のキャリアアップもスムーズになると考えられます。また、30代半ばの女性には「もう十分仕事をやり切った」と辞めていく人も多くいます。異動や大口顧客の引き継ぎ等において無意識の差別をなくし、2、3年ごとに環境を変えながら経験を積ませ、さらに難しい職務を与えてほどよくプレッシャーをかけることで、仕事に飽きさせないなどが重要です。
女性に活躍する場を与えることは、一生懸命働いてもらうために進める施策です。コストを掛けてリターンがないと全く意味がありません。どう働けばいいか悩んでいる女性に選ばれる会社になってほしいと思います。

基調講演 事例紹介・パネルトーク

左から、高塚氏、笠屋氏、北尾氏

北尾

これまでの仕事で大変だったことも含めてお仕事の内容について教えてください。
高塚

組合員の生きがいや仲間づくりの手助けがしたくてJAに入りました。セミナーを企画するなど楽しい仕事でしたが、他部署に異動になり、将来的なキャリアについて考えるようになりました。まずは業務に必要な資格の取得に励み、どんな仕事でも積極的に取り組むようにしました。JAにはあらゆる部署があり、異動のたびに転職するような気分でした。知識は異動のたびに一から覚えないといけませんが、能力は日ごろから磨いていれば、どこに異動しても役立ちます。
笠屋

仕事は、相手の心さえつかめたら自然とその人が頑張ってくれるので、人の心をつかめる芸術家のような人になれたらと思いながら働いています。以前、大きなプロジェクトを進めていた時に母の看病をすることになり、忙しくて大変でしたが、仕事も看病も後悔のないように精一杯頑張ろうという思いで前向きに取り組み、乗り切ることができました。その気になれば何でもできるという自信がつきました。
北尾

仕事で大変な時に支えてくれた人、励みになったことがあれば教えてください。

高塚

自分の考えが組合員に受け入れられた時は大きな励みになりました。上司は男性ばかりでしたが、節目の時にはその都度背中を押してくれ、女性の仲間たちが時々愚痴を聞いてくれたことも、大きな支えとなりました。
笠屋

女性の上司には、細やかな気配りを教えられました。また以前、転勤先の栃木県を離れる際、送別会で後輩に泣いて見送られ、自分が信じたことを迷わずやってきてよかったと励みになりました。
北尾

これからも女性が活躍していくために必要なことは?
高塚

長く仕事を続けるためには、常に全力だと何かあった時に対応できません。家庭が大変な時には、仕事をペースダウンする勇気も必要です。人生の半分近くを仕事に費やすことになるので、自分らしい働き方をした方がいいと思います。また企業側は、さまざまな施策を実際にきちんと運用できる体制にしなければなりません。例えば、女性の管理職は1人だけいても組織として意味がありません。「数は力」と言われるように一人では何もできません。ある程度の人数がいて、期待される女性の感性等が活かされるのではないでしょうか。
笠屋

「女性は補助的な業務を担当するもの」という意識がまだ残っており、女性の方にも昇級を望んでいない人が意外とたくさんいます。彼女たちがもっと仕事に対して積極的な姿勢を見せれば、社内の意識も変わっていくと思います。私はよく、短時間勤務のワーキングマザーに「あなたは限られた時間でこれだけの仕事をこなせているのだから自信を持って」と声をかけています。企業側が期待していると伝えることで、本人のモチベーションも上がるのではないでしょうか。