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平成26年度 「看護師の固定化した働き方から多様な働き方への挑戦」

最先端企業見学ツアー終了センター主催事業 投稿日2014.11.28

看護師の固定化した働き方から多様な働き方への挑戦
看護師の働き方を基本的に見直すことから始まった、キーパーソンの挑戦

2014年11月28日、兵庫県内の医療機関従事者を対象とした最先端企業見学ツアースペシャルセミナーを開催しました。離職率や残業時間を改善してきた大阪府済生会吹田病院の取り組みについて、副院長兼看護部長の池田恵津子氏、事務長の宮部剛実氏から説明していただきました。その概要をレポートします。

見学ツアー内容

開催日

平成26年11月28日(金)

訪問先

社会福祉法人恩賜財団済生会大阪府済生会吹田病院(大阪府吹田市)

情報誌

仕事と生活のバランス vol.22 p8参照

日本初のオリジナルナースバンク制度「くわいプロジェクト」で超時短勤務を可能に

1911年に創立された済生会は「生活困窮者への積極的支援」「地域医療への貢献」「総合的な医療・福祉サービスの提供」の三本柱を使命とし、その達成のためには「経営の健全化」「運営基盤の整備」が欠かせないと考えています。吹田病院では、全ての職員が働きやすい職場づくりとしてワーク・ライフ・バランス(WLB)実現の環境整備に努めてこられました。

 

同院では2004年度から06年度ごろ、育児中や介護中の看護師の離職により人材が不足し、看護師のスキルアップのための時間の確保が難しくなるなどさまざまな問題が発生してきました。そのため、働きやすい職場づくりの一環として日本初のオリジナルナースバンク制度「くわいプロジェクト」を2008年度にスタートしました。勤務は週1日以上、1日2時間から可能で、好きな時間帯や曜日を選べます。制度利用者は「くわいナース」と呼ばれ、子どもの急な発熱や学校行事等での休みにも対応でき、院内保育所も1日500円の低料金で利用できます。そのため、育児をしながら働きたいと考える潜在的な看護師からの応募が多く、くわいナースの約6割が子育て中です。

 

当初は、「超時短勤務者にどのような仕事ができるのか」といった反対意見もあったそうですが、運用後は、「欠員のカバーができた」「残業時間が減った」「経験者なので自分で仕事を見つけてくれる」等の好意的評価が受け入れ側から聞こえてきました。また、同院の看護師が子育てに入る場合に、同制度を活用することで辞めずにすむといった効用も生まれています。ちなみに、制度名は吹田の特産物である野菜「くわい」から取ったそうで、その親しみやすい愛称も実現推進の大事な要素なのかもしれません。

 

このプロジェクト以外にも、夜勤の時間短縮、中日勤の設置、院内保育所の運用拡大等を実施され、2004年度から06年度にかけては20%だった離職率が、12年度には10%程度まで低下しました。さらに、残業時間も1人当たり月平均2~3時間と大幅に改善されたそうです。

 

ツアー参加者らは活発に質問し、「看護部長が本音で語り、現場をよく知っている。素晴らしい部長だと思った」「病院全体でWLBに取り組む重要性を痛感した」などの感想が寄せられました。