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労働時間の短縮で自由時間が増加私生活をもっと充実したものに

株式会社東光バネ工業社

所在地 尼崎市長洲本通2-8-38
事業内容 金属製品製造業
従業員数 39人(男性24人、女性15人)
冊子掲載 令和6年度WLBな会社ガイド
冊子PDF 詳細をみる
公開日 2025年2月10日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

同社は2023年5月、労働時間の短縮に踏み切りました。報酬は従来のまま、1日の労働時間を1時間短くして7時間に、週35時間労働にしました。従業員たちは、増えた自由時間を家族との時間や学びの時間に充てて生活を充実させています。

造船や産業機械、プラントなどで使われる耐熱・耐食性が優れたバネを製造しています。

5S活動の徹底が時間短縮の礎に

 川崎重工業で働いていた創業者が、独立して設立したバネ製造会社。耐熱性・耐食性に優れた各種バネを製造し、製品は造船や重機、産業機械、プラントなどの分野で使われています。
 労働時間の短縮は2023年5月から。代表取締役社長の篠原進さんは「短時間で集中して仕事を終えれば、家庭のことや各自の学びに時間を振り向けられます。仕事量も落ち着いている時期だったので、やってみようと思いました」と挑戦した理由を明かします。 篠原社長は会長である田中知子さんの娘婿に当たり、経営トップとして奮闘する田中会長を助けるため2015年に入社。「以前いた飲食業界の視点で見ると、製造業ならば労働の効率化がもっとできると思い、まずは5S活動を徹底しました」。不要なものを「整理」し、必要なものを使いやすい場所に置いて「整頓」、「清掃」して点検を行い、「清潔」な状態を保つ。その状態を維持するための「しつけ」。これらの地道な活動が、時間短縮実施の礎となりました。
 最初は、「時短なんてできるの?」という反応だった従業員も、17時の終業時間が16時に繰り上がれば、仕事への取り組み方を根本的に変えざるを得ません。その日の仕事をしっかり計画し、無駄な時間や手間を生まないよう、1日の労働時間7時間に一層の責任が伴います。「従業員から『残業したい』という申し出があっても、正当な数字と理由がなければ許可しません」と篠原社長。定時の16時に仕事を終えた従業員たちは、帰宅ラッシュに巻き込まれることなく帰宅し、家族の病院行きに付き添ったり、家でゆっくり過ごしたり、パソコン教室に通ったりして、それぞれの生活を充実させています。

増えた自由時間をスキルアップに活用。パソコン教室に通う社員もいます。

マンダラチャートで着実に成長

 創業77年の同社は今、100年企業を目指して進んでおり、全従業員のベクトルを合わせるために「マンダラチャート」を使っています。9×9のマスで構成される目標達成ツールで、達成のためのビジョンの明確化や具体的な行動の作成に役立てます。メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が、高校時代に取り組んだことでも知られるようになりました。
 会社全体のマンダラチャートの中心にあるのは「100年企業」。その大目標を達成するために必要な解決策や要因である、「人」「組織」「工場」「雇用」「機械」「教育」「金」「事業承継」が周囲の8マスに書かれています。さらに、それら8つの中目標について、実現するための具体的な行動目標や達成目標などを周囲に記します。加えて、部署ごとのマンダラチャートも作成。全員が力を合わせ、項目を一つ一つクリアしていくことで、大目標達成に
努めています。

会社全体のマンダラチャート。中心にあるのは大目標の「100年企業」です。

頑張る社員に良好な環境を提供

 金属加工の製造現場は過酷で、夏場は室温が45度に達することもあります。従来はスポットクーラーを多数設置していましたが、2023年秋、新たに井戸水クーラーを導入しました。井戸水クーラーは夏でも冷たい井戸水を利用する冷房システムで、室外機はなく排熱もしません。人にも地球にも優しい冷房システムです。2024年は初めて井戸水クーラーのある夏を過ごしました。他に、天井部分に遮熱シートを張り、太陽熱による室温上昇を食い止める工夫もしています。
 「これからも従業員の頑張りに応え、女性もシニアも障がい者も、誰一人取り残さない経営をしていきたい」と田中会長。時代と従業員のニーズに合わせたワーク・ライフ・バランスの在り方を今後も追求していきます。

夏場の工場内の猛暑を緩和するため、環境に優しい井 戸水クーラーを設置しました。

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