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個人面談と改善提案で声を聞き 働きやすい職場環境を実現

株式会社大栄螺旋工業

所在地 西脇市西田町210
事業内容 フレキシブルチューブ、 熱交換器の製造・販売
従業員数 40人(男性32人、女性8人)
冊子掲載 令和4年度WLBな会社ガイド
公開日 2023年1月31日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

「ものや時間が日常的に無駄になっていても、誰も改善しようとしない」。同社に長らく根付いていた、そんな他人事の風土から脱却するため、個人面談や改善提案活動で自分事として出てきた現場の声を生かし、長く働きたいと思える職場づくりに取り組んできました。

改善提案活動でアイデアが出され、手作りされた移動式パーテーション。コロナ禍の朝礼などで役立っています。

過去の当たり前を見直す

 住宅設備機器に使う給水給湯用のフレキシブルチューブや熱交換器など、暮らしに役立つ製品の一部を製作する同社。特殊技術を必要とする製造業だけに、職人気質の社員が多く、「30年ほど前までは工場内で工具や金具が迷子になるのが日常的。失敗品や余剰在庫が山積みになっている一方で欠品して困っているものがあるなど、管理が行き届いていない状況でした」と代表取締役社長の藤井義久さんは当時を振り返ります。言い出した人がやらないといけないため誰も口火を切らず、風通しが悪く不便も多い職場環境が長らく続いていました。
 他人任せで、ものや時間が無駄になるのは当たり前という組織風土からの脱却を図ったのが20年前。品質管理に関する国際規格ISO9001の取得を機に、働きやすい職場づくりを目指し始めました。その流れは、2014年に藤井さんが社長に就任してから加速します。
 藤井社長はまず、年1回の面談で現場の声を聞くことからスタートしました。工場の暑さ対策を要望する人が多かったため、スポットクーラーや換気扇を増設して当面の対策を講じ、並行して壁や屋根を二重構造に改修してエアコンを導入。従業員が快適に作業できるようになり、作業効率が格段に向上しました。
 また、育児や介護を担う従業員の声を基に有給休暇を時間単位で取得できるようにするなど休暇制度を拡充。永年表彰制度も新設し、従業員満足度の向上に努めました。現在は社長だけでなく、部署リーダーと定期的に面談する機会も設けています。

エアコンが設置されて作業環境が飛躍的に改善されました。

みんなが楽しく思いを形に

 さらに働きやすい職場環境を目指して、全従業員から改善提案も募りました。画期的だったのは、どんなささいなことでも提案すれば評価される仕組みづくりです。提案者だけでなく実現に向けて協力した人もポイントがもらえ、ポイントを多く集めたり優れた改善策を提案したりした人が表彰されるようにしました。
 寄せられるのは、分類や収納のアイデアをはじめ、「通路の段差解消のためにマットを敷いてはどうか」など、小さくても確実に職場環境を良くするさまざまな改善策。コロナ禍で、マスク姿の社長が眼鏡を曇らせながら朝礼スピーチをする姿を気の毒に思った従業員らが、あり合わせの材料で移動式パーテーションを手作りするという、製造業ならではの事例もありました。今では半年間に100件前後の改善が継続的に行われ、品質向上や作業時間短縮にもつながっています。「9割近くは小さな提案ですが、実現すればうれしいからまた提案してくれる。一人一人が自分事として考え、職場が前向きな雰囲気に変わったことが何よりうれしい」と藤井社長は話します。

ベテランが継続勤務して若手に技術を伝えています。

若者に選んでもらえる会社に

 普段話せないことを伝えられる個人面談、どんな小さなことも拾い上げる改善提案活動。これらの改革を通じて、有給休暇取得率は取組前の30%台から50%台に上がり、残業時間も6割程度減少しました。また育児や介護による退職者が多かった女性の平均勤続年数が14.7年に上昇。定年後や雇用延長後も働き続けたいというベテランが増え、若手のサポートや特殊技術を伝える良い流れも生まれています。さらにコロナ禍の教訓を生かして、次世代のリーダー格の成長を促したり、業務ローテーションを確立したりして「みんなが休める職場づくり」にも取り組んでいます。
 「会社は人で成り立っています。だから従業員の働く環境を良くすることが会社の成長につながるし、ワーク・ライフ・バランスを確立した会社が若者に選ばれていくと思います」と藤井社長。近年は2年連続で地元高校出身者が入社するなど採用活動も順調です。

業務ローテーションで応援し合い、みんなが休める職場を目指しています。

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