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業務を見直し負担軽減 離職率が4.2%に低下

社会福祉法人しらさぎ福祉会

所在地 姫路市林田町山田351-3
事業内容 特別養護老人ホームなどの運営
従業員数 93人(男性31人、女性62人)
冊子掲載 令和4年度WLBな会社ガイド
公開日 2023年1月31日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

特別養護老人ホームを運営する同法人では、働き方の見直しを進めていく上で、現場の若いスタッフに権限を委譲。無駄な業務を見直すとともに、ICT化、機械化で負担の軽減に努めました。その結果、離職率は4.2%にまで下がり、提供するサービスの質の向上につながっています。

若いスタッフに権限を委ね、無駄な業務の見直しを図りました。

試しながら無駄な業務を見直し

 介護職の離職率はひと頃に比べ下がってきているものの、依然として14.9%(公益財団法人介護労働安定センターによる「介護労働実態調査」2020年度版)と高く、かつての同法人も例外ではありませんでした。「毎年10人ほどが辞め、新たに10人を補充するような状態が続いていました。人の出入りが激しい中でサービスの質を向上させるのはなかなか難しかった」と、理事・事務長の上田義弘さんは振り返ります。
 転機となったのは、2017年の社会福祉法人の制度改革に伴い、内部留保の還元が義務付けられたことでした。「内部留保資金を施設の改修と処遇の改善に充てたのと併せて、働きやすい職場づくりを推進することとし、その取組については現場の若い介護職に委ねました」
 改革を任された一人、介護副主任の髙濵啓之さんはまず有給休暇の取得を促進し、残業も削減できるよう、無駄な業務を見直すことにしました。現場から意見を吸い上げ、できることから着手していきました。例えば利用者のトイレ誘導、排せつ介助。従来は4人のスタッフが付いていましたが、2人に減らし、残りのうち1人はサポートが必要であればすぐに駆け付けられるよう待機、もう1人は休みを取得できるようにしました。「まずは試しにやってみて、問題点が出てきたらそれを解決する方策をみんなで考え、実践しました」と髙濵さん。
 また、出勤間隔が空くパートタイマーのスタッフも交えて、毎朝ミーティングを開催。利用者の体調の変化などの情報を共有することで、常に適切なサービスが提供できるようにしました。問題点が生じたときはその都度ミニ会議を開いて改善策を練るなど、密なコミュニケーションにも努めました。

パートタイマーのスタッフも交えた毎朝のミーティング。

タブレットとインカムを導入

 3年前からはこれらの改善策がさらにスムーズに進むようICT化、機械化による業務負担の軽減に取り組みました。まずは持ち運び可能なタブレットを部門ごとに数台導入しました。利用者へのサービス内容が書かれたケアプランなどを現場で見られるようになったほか、利用者の心身に異変が生じたときには、その様子や状態を動画で撮影し、医師に的確に情報を伝えられるようになりました。
 また、無線で音声のやり取りができるイヤホン、マイク付きのインカムを導入したことで、遠隔でもサポートの依頼などがスピーディーにできるようになりました。さらに、利用者が部屋で眠っている間の心拍数や呼吸数、起きてベッドを離れたかどうかなどが遠隔で把握できる各種センサー機器を導入。利用者の体調の急変を把握できるようになり、離床時には部屋に駆け付けられるため転倒防止につながっています。

就寝中の心拍数や呼吸数を遠隔で把握できるシステムを導入。体調の急変にすばやく対処できます。

離職率は4.2%に低下

 こうした取組の結果、かつて月50時間以上だった1人当たりの残業時間は現在1.7時間にまで減少しました。平均勤続年数は10年を超え、以前は10%を超えていた離職率は2021年には4.2%にまで低下しています。スタッフの中には夫婦が3組、親子が1組、兄弟が1組いることも、働きやすい環境が整っていることの証しといえそうです。
 業務改善を利用者へのケアの質の向上につなげてきたその先は、「各種ICT機器を活用してデータに基づいたきめ細かいサービスを行うとともに、そうしたデータを新しく入ってくるスタッフの教育にも生かしていきたい」と髙濵さん。質の高いサービスの提供を目指し、ICT化をさらに進める構えです。

イヤホン、マイク付きインカムの導入で、サポートの依頼がスピーディーに。

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