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顧客にも理解を促しながら常態化していた残業を削減

株式会社ビッグバレーインターナショナル

所在地 尼崎市杭瀬本町1-23-2 カーサフジイ2階
事業内容 医療、介護、物流分野におけるプログラム開発およびシステムコンサルティング
従業員数 80人(男性52人、女性28人)
冊子掲載 令和3年度WLBな会社ガイド
公開日 2022年1月31日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

心身ともに疲れ果てている社員の姿に、残業ゼロの実現へと動き始めました。残業の原因となっていた得意先の仕事を減らすとともに、残業が生じるたび、得意先に対して残業が発生するような無理な発注をしないように説得。5年後には残業ほぼゼロを実現しました。

モンゴル人社員(右)と打ち合わせをする大谷社長。業務を改善したことで社内の雰囲気も良くなりました。

あえて仕事を減らし残業削減

同社は医療機関や介護施設、企業で稼働しているシステムの構築やプログラムの開発を担うシステムエンジニアの集団です。5年前まで、残業はおろか徹夜、休日出勤も常態化しており、いわゆる典型的なブラック企業でした。「私自身、帰るのはいつも夜の12時。栄養ドリンクと気合いで乗り切っていましたが、1年の間に異なる心疾患を患うなど激務で体
も悲鳴を上げていました」と、大谷和彦社長は当時の状況を振り返ります。このままでは社員の体力が持たず、会社自体が存続できなくなるのではないか―。そう感じた大谷社長は残業ゼロを目指して、事業のやり方を大きく変える決断をします。
 まずは、残業の大きな原因だった、納期が厳しく仕様変更も頻繁にあった医療関連のシステム構築の仕事を減らしました。その顧客との仕事は売り上げの大半を占めていましたが、これを別のプログラム開発の仕事を増やすことで補完。さらに、本業とは別に、知人から引き継いだ人材派遣の事業育成にエネルギーを注ぎました。
 それでも残業を余儀なくされることはありました。その際は、大谷社長が顧客と直接連絡を取り、「残業をしなくてよい働き方ができるように、発注のやり方を見直してほしい」と伝えるとともに、残業が生じた場合はすぐに振り替え休日を取得するよう社員に促しました。「残業をして、もし何か事故があれば顧客にも損害が及びます。顧客にとっても残業は悪だということを繰り返し説明し、理解していただきました」と大谷社長。2021年現在、残業はほぼなくなっています。

残業の原因だった仕事の受注を減らすなど、抜本的な残業削減に取り組みました。

自分のために書く日報で改善

 顧客のオフィスに出向いて仕事をすることも多い同社は、社員間のコミュニケーションが取りづらく、慢性的に納期に追われていたこともあり、イライラがまん延する悪い空気が漂っていました。そこで、オンライン会議アプリやクラウド電話などを活用し、在宅でも仕事ができる環境を整える一方、常にオンラインでつなぎながら何か問題が生じればすぐに対処できるようにするとともに、遠隔でも誰もが書き込めるデジタルホワイトボードを活用して情報を共有しました。副産物としては、全国から人材を採用できるようになったことです。
 トップダウンだった組織の在り方も変え、グループ単位でリーダーを決め、案件ごとの管理を任せました。また、社員の成長を促すために日報にも工夫を凝らしました。前日に翌日の業務について、何時までにどの仕事を終えるかを書き込んでおき、時間通りにできなかった場合には、なぜできなかったかを自身で分析し、分析結果は次回に改善策として
生かします。「自分のために書く日報にすることで各人がスキルアップし、生産性がかなり上がりました」と大谷社長。仕事に追われることがなくなり、余裕が生まれた社員には副業も認めています。

オンライン会議アプリやクラウド電話を活用し、在宅でも仕事ができるようにしました。

地域になくてはならない会社に

本業のプログラム開発やシステムコンサルティングの売り上げは一時、半分ほどに減りましたが、他の顧客を獲得することで徐々に回復。また、人材派遣業に加え、2年前には日本語学校も設立し、落ち込んだ売り上げを補っています。その縁も生かし、現在社員の3分の1を外国人が占めています。
 大谷社長は本社のある尼崎市杭瀬の出身です。地域の小・中学校に無償でIT支援を行ったり、地域のイベントに協賛したりと、地域貢献にも努め、そこには社員も自主的に参加しているとか。「かつてはにぎわっていた商店街もシャッター通りになって寂しく感じます。少しでも地域の活性化につながればと思い、商店街の空き店舗を買い取って日本語学校生の寮にリノベーションしました。これからは、地域になくてはならない会社を目指します」と話しています。

本業の売り上げの落ち込みをカバーするため、日本語学校などの新規事業を立ち上げました。

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