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先輩社員が若手の相談役 ICT導入で業務も効率化

但南建設株式会社

所在地 朝来市山東町滝田148-1
事業内容 総合建設業
従業員数 141人(男性105人、女性36人)
冊子掲載 令和3年度WLBな会社ガイド
公開日 2022年1月31日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

3K(きつい、汚い、危険)のイメージがある建設業界。建築や土木工事を手掛ける同社も、若手社員の離職が絶えませんでした。打開策として、先輩社員が相談役になるメンター制度を導入し、ここ2年の若手離職者はゼロに。情報通信技術(ICT)の活用で長時間勤務の是正にも取り組んでいます。

先輩社員(右)がメンターとなり、親身になって仕事やプライベートの相談に乗ります。

悩みに寄り添い若手の離職を防ぐ

 同社は北近畿エリアを地盤に、道路・河川工事や地方自治体の庁舎建設などに加え、一般住宅の建築なども請け負う総合建設会社です。工期が決められているため、天候に左右される現場は工事完了までなかなか休めない状態が続くことも。業界特有の3Kのイメージも重なり、入社10年以内の離職率は2015年度までは5割を超えていました。当時の状況に、代表取締役の衣川義弘さんは「育ててきた若手が辞めていくのを見るのは本当に悲しかった」と振り返ります。
 そこで、まずは若手がどんな悩みを持っているかを把握することから始めようと、2018年度にメンター制度を導入しました。入社10年以内の先輩社員が指導役となり、仕事からプライベートの悩みまで親身になって若手社員の相談に対応。家族や友達など人間関係の悩みから、「休みの日に何をしたらいいか分からない」といったことまで、真剣に耳を傾け、対応できないことがあれば総務部の担当者につなぎます。新型コロナウイルス感染症の流行前は、30歳以下の社員で年1回若手会を開いたり、個別でも食事会などを行ったりして、相談しやすい雰囲気づくりにも力を入れてきました。
 「これまでは退職したい人を引き止めるのが難しかったけれど、今は初期段階で相談することで辞めるまでに至りません」と衣川社長。実際に、入社10年以内の社員の離職率は2018年度に17%となり、20年度以降はゼロになりました。「今の若手がメンターになりたいと手を挙げてくれるようになるのがゴールです」

離職率は、ワーク・ライフ・バランスに取り組む前と比べて減少しています。

ICT活用で長時間勤務を是正

 離職率の高さとともに、長年の課題だったのが長時間勤務の慢性化です。国からの指導もあり、公共工事の多くは週休2日制になりましたが、民間工事ではまだまだ進んでいないのが現状。そのため、工事が完了した後は振り替え休日や有給休暇を利用して、7日間以上の休みを取るよう指示しています。
 また、ICTの導入を積極的に進め、業務の効率化を図っています。例えば、測量の際もドローンを使って撮影するだけで立体地形のデータが作成でき、大幅な時間短縮を実現。工事現場で何かあれば、これまでは上司が直接出向いて技術指導を行っていましたが、現場にカメラを据え付けることで画面を通しての指導が可能になり、即座に問題を解決できるようになりました。「時間を有効に使えるようになれば、労働生産性も上がります」と衣川社長は胸を張ります。
 1人当たりの平均年間残業時間を比べると、2016年度は270時間でしたが、20年度は177時間となり、3割以上も削減することができました。

建設ICT機器の導入で業務の効率化を図っています。

奨学金の返済や資格取得を支援

 仕事の効率化が進むことで、プライベートの時間に資格取得を目指す社員も増えました。意欲のある人を積極的に支援しようと、資格取得にかかる学費や交通費は、全額会社で補助しています。中には一級建築士や宅地建物取引士など難関といわれる資格に挑戦する人もいます。
 ほかにも育児・介護休業の相談窓口を開設しており、誰もが働き続けることができる環境も整っています。女性社員の育児休業からの復帰率は100%を達成、2020年度には2人目の女性管理職が誕生しました。奨学金の返済支援制度や独身寮の無償提供など、経済面を支える制度も各種整備しており、衣川社長は「体一つで来てもらえば、働くことができる環境を整えています」と話しています。

女性が働き続けられる環境を整備しています。

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