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全員参加型の組織運営で誇りを持てる職人集団に

株式会社上林電気商会

所在地 明石市魚住町西岡627‐1
事業内容 電気設備の設計、施工、管理
従業員数 14人(男性7人、女性7人)
冊子掲載 令和3年度WLBな会社ガイド
公開日 2022年1月31日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

現場監督への仕事の偏りを見直すことから始まった改革。社員全員で話し合える雰囲気づくり、一人一人の特性を考えた仕事の配分などを通じて、社員の主体性が育ち、会社の成長にもつながりました。この7年間で社員数は約3倍に、売上高は3倍以上にまで増えています。

7人の女性社員のうち3人が電気工事士の資格を持ち、現場で活躍しています。

誇りを持って働けるように

 明石市内で、工場や学校等の高圧受変電設備の設計から施工までを一括して請け負い、施工では工事の管理を担う監督業を中心に手掛けています。
 上林将経社長自身も電気工事士、電気工事施工管理技士の資格を持ち、駆け出しの頃は現場の工事や監督を担当していました。その時に分かったのは職人の社会には、「残業は当たり前」「作業さえしておけばよい」といった考え方が浸透していること。当然、残業が多く、若手の離職率も高い状況でした。「このままでは先がない。顧客のことを思い、誇りを持って働ける集団に変えたい」と、2013年に改革に乗り出しました。

社員の発案で始まったショートケーキの日。

意見を出しやすい工夫を随所に

 手始めに、現場作業に加えて書類や写真の整理、顧客との打ち合わせなどを担っていた現場監督の仕事を、社員全員で分担するための話し合いを実施しました。工夫を凝らしたのは、意見を出しやすくする雰囲気づくりです。一例として、社員の発案でショートケーキを出すことに。するとケーキをめぐって話が弾み、本題についても意見を交わしやすい雰囲気になりました。現在も、月1回程度「ショートケーキの日」を設けています。
 また、全ての参加者の意見を拾うため、発言するだけでなく、付箋に意見を書く方式を取り入れたところ、多くの意見が出るようになりました。さらに、社員一人一人の性格や行動特性を分析するツールを導入し、それぞれが参加しやすい会議のやり方を考えました。大勢の前で発言するのが苦手な人には少人数での会議の場を設け、あらかじめ段取りを理解しておきたいという人には事前に会議次第を配布しています。
 仕事の分担においても、整理が得意な人に書類や写真の整理を、人と話すのが得意な人に打ち合わせを任せてみることにしました。「自分の特性を知るだけでなく、周りがどういう人なのかを知ることで、互いに思いやれるようになるのです」と、上林社長は取組の意図を語ります。

社員が主体となって運営する4つの委員会活動。研鑽委員会では技術力向上のための研修などが行われています。

主体性を育てる委員会活動

 並行して行ったのが、社員が主体となって運営する「広報戦略」「研けん鑽さん」「環境整備」「交流」の4 つの委員会活動です。環境整備委員会では、「整理、整頓、清掃」の3S活動の推進や働き方の見直しに取り組みました。残業をテーマにした話し合いでは、スタッフから匿名で意見を募る方法で本音を引き出し、漫然と残業をしている現状をあぶり出しました。そこで、残業する際はあらかじめ残業申請書を提出することを制度化しました。「委員会活動は共に育つ共育の場。みんなで考えながら一緒に育っていってほしいと思います」と上林社長。
 改革の結果、2013年と20年を比較すると、1人当たりの月平均残業時間は27時間から11時間に削減、離職率は33%から15%に低下しました。一方、社員数は5人から14人になり、売上高も3倍以上に増えました。上林社長は「社員に任せることで私が営業活動に専念できるようになり、家業から企業へと変貌することができました」と振り返ります。
 14人の社員の半数が女性で、うち3人は電気工事士の資格を持っています。その一人、事務・総務担当の岡田さんは「工務担当の社員とのパイプ役になりたい」と自ら資格取得に挑み、「お客さまの電話応対でも、内容を理解して工務担当者に話をつなぐことができるようになりました」と言います。現在は、2020年に入社した女性社員が現場監督を目指して資格に挑戦中です。上林社長が当初掲げた「誇りを持って働ける集団に」という目標に着実に近づきつつあります。

親睦を深めるために全社員で懇親会も。

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