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株式会社神戸製鋼所 「一皮むける経験」で女性社員の活躍を後押し

株式会社神戸製鋼所

所在地 神戸市中央区脇浜海岸通2-2-4
事業内容 製造業
従業員数 10,609人( 男性9,881人、女性728人)
冊子掲載 平成27年度 WLBな会社ガイド-兵庫版
公開日 2016年2月25日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

次世代育成支援対策推進法の施行後、仕事と生活の両立支援策に取り組み、現在、第4次行動計画を推進中の神戸製鋼所。2014年には、3人の専任社員から成るダイバーシティ推進室を新設し、女性社員がより長く働き続け、キャリアを積んでいくことのできる施策にも力を入れています。

「一皮むける経験」対象の、資材・調達部に所属する女性社員。韓国に出張し、現地工場の社長と発注した機器の確認を行いました。

取り組みポイント

★ダイバーシティ推進室の設置
★在宅勤務日制度の導入(妊婦とその配偶者も利用可)
★女性社員の上司に対する女性活躍推進の意識を啓発する研修の実施

女性採用数など数値目標を設定

ダイバーシティ推進室は、室長の佐野紀子さんをはじめ3人の専任社員が全て女性です。佐野さんは結婚、出産、子育てを経て管理職として活躍する、同社女性社員のフロントランナーでもあります。「入社したころはただひたすら男性社員に負けまいと突っ走ってきましたが、子育てを経て、それまでと同じペースで働き続けることは非常に難しいことを実感しました。周りと比べるのではなく、それぞれが『今』発揮できる最大限の力を出し切って、充実した毎日を送ることが大事だというメッセージを伝えたい」と話します。

2003年に次世代育成支援対策推進法が成立して以降、同社では05年度に第1次行動計画を策定し、その後も期間ごとに目標を定め、着実に仕事と生活の両立支援策の充実を図ってきました。14年10月のダイバーシティ推進室発足時は第3次行動計画の最中でしたが、両立支援の充実により2回目の「くるみん」マーク(「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を受けた証)を取得し、現在は15年4月から始まった第4次行動計画を実行中で、男性社員の子育て参加を促し、ダイバーシティ推進の周知活動に力を入れています。

数値については15年度の総合職採用の目標として14年度の倍増を目指し、女性の比率を事務系で30%、技術系で10%とする数値目標を掲げています。

諸施策の充実を図ってきた結果、結婚、出産で退職する女性社員はほぼゼロに。一方で結婚・出産後も仕事を続けることに対して不安を感じている人も多く、その要因についてダイバーシティ推進室では「長時間労働が続くことによる子育てとの両立ができるのかといった悩み、また夫や本人の転勤に伴う別居生活への不安などがあり、この会社で働き続けて活躍するイメージが思い描けないことが大きな理由」と分析し、両立支援に加え、活躍支援との両論で女性のキャリアアップを図ることが大切だと考えるようになりました。

育児の悩みなどを言い合う「ママ・プレママランチ会」。女性の情報交換の場となっています。

ワンランク上の仕事で自信を

新たに活躍支援を強化したのは、こうした要因を踏まえてのことでした。その一つが15年4月にスタートした「一皮むける経験」。入社4年目から7年目、20代後半から30代前半の女性総合職の社員に、一段レベルの高い仕事を経験してもらうという試みです。対象者はまず上司と面談をして目標を決め、一段レベルの高い仕事の内容を詰めます。進捗についてはダイバーシティ推進室がチェックし、必要があればフォローします。

「資材・調達部であれば、担当する部品や機器のメーカーを自ら発掘し、新規調達先に加えるかどうか、品質や納期、財務状況などさまざまな視点から分析して社内関係者と協議し、評価することなどが一例です。価格・契約交渉の主担当として動くことも求められるでしょう。自らの手でまとめ、仕上げることで、この先キャリアアップしていっても頑張れそうだという自信が芽生えます。

将来も活躍できるイメージがモチベーションになれば、長く働き続けることができ、おのずと女性管理職も増えていくでしょう」と佐野さんは展望します。

深層的なダイバーシティへの取り組み

一方で、4年目から7年目の女性部下を持つ上司やライン部長への研修では、時間当たりの生産性を向上させることの重要性を呼び掛け、それが、従来の男社会ではともすれば当たり前とされていた長時間労働の削減につながり、本来の意味でのダイバーシティの実現に不可欠であることを説明しているそうです。

ライン部長のダイバーシティ理解を深めるための研修。「定時で帰るためにどうすべきか」などについて意見交換しました。

また、女性のみならず外国人や障がい者を含む多様な人材のための活躍支援の取り組みとして、ダイバーシティサポートネットを開設しました。全社員を対象に、上司や職場には言えない困り事を相談できるように、ダイバーシティ推進室直通のメールアドレスを公開し受け付けています。これまでに「在留ビザの更新費用を会社で負担してほしい」「既婚女性社員の名前について旧姓でも検索できるようにしてほしい」といった相談に対応しました。

併せて両立支援策として、配偶者が遠方に転勤した場合に一定期間休職できるキャリア継続休職制度を新設したほか、月4日まで可能な在宅勤務日を前日でも申請できるようにするなど制度の拡充に努めています。「性別、国籍、年齢、障がいの有無といった表層的なものだけでなく、中途採用、総合職・一般職、介護、子育て、メンタル不調からの復帰など表には出ない深層的なダイバーシティを広げる活動も拡充していきたい」としています。

在宅勤務日制度を利用して自宅で働く女性社員。出退勤時間を有効活用でき、ワーク・ライフ・バランスを保つのに役立っています。

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