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休暇・休業の制度を整え女性が活躍する職場に進化

株式會社丸十

所在地 加古川市八幡町上西条306-235
事業内容 精密板金加工、各種筐体の組立
従業員数 78人(男性57人、女性21人)
冊子掲載 令和2年度WLBな会社ガイド
公開日 2021年2月19日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

オンリーワンのものづくり力を持つ企業の一つとして、精密板金の技術で業界をリードする丸十では、正確で丁寧な仕事ぶりの女性たちが活躍するようになりました。6Kといわれる典型的な町工場から、休暇・休業制度の整備や健康経営を進める企業へと大きく舵を切り、離職率も大幅に改善しています。

女性が活躍する製造現場。全従業員に占める女性の割合は3割になり、県内初の女性技能士も誕生しました。

3割が女性で県内初の女性技能士も

 金属の薄板をNC制御のマシンで正確に切断し、穴開けやねじ切り、曲げ、溶接を経て精密板金加工製品が出来上がります。ETC用車両検知器、新幹線の座席専用フレーム、物流メーカー向けの搬送コンベアユニット、貨幣処理機メーカー向けの両替機の内部部品と製品は多岐にわたり、東京スカイツリーの展望台についている筐体(機器類を収める箱型容器)も同社製です。
 しかし、「以前は6K(きつい、汚い、危険、休日がない、給与が低い、希望がない)といわれる、典型的な町工場でした」と3代目代表取締役社長の松尾將勝さんは振り返ります。「100%受注生産で、納期に間に合わせるため長時間残業や休日出勤は当たり前でした」。ネガティブなイメージが先行し、離職率が高く若者が集まりにくい状況だったといいます。
 働き方改革の流れの中で、まず手を付けたのが育児休業、介護休業の規定の整備です。現在、ベトナム人女性社員が同社で初めて育児休業を取得しています。
 2015年には、兵庫県内初の女性技能士も誕生しました。「男性にはこの道何十年の超ベテランもいますが、全体的に几帳面で欠陥品を出す不良率が低いのは女性です」と松尾社長。全従業員に占める女性の割合は3割まで上昇しています。

現在育児休業取得中のベトナム人女性社員。

制度化で休暇を取りやすい風土を

 休暇取得を促す取組としては、年に3日、全社一斉の有給休暇を付与。ボランティア休暇や地域行事参加休暇制度も導入しました。「秋祭りの日は仕事を休む」ともいわれるほどの祭りどころ、播磨地域ならではの休暇制度です。皆勤手当制度を廃止し基本給に加算したのも、休みの取りづらさを解消するためでした。「制度を整えることで、有給休暇取得イコール怠けていると見られる風土を改革し、休みを取りやすい雰囲気にしたかったのです」と松尾社長は説明します。
 相まって、1人当たりの月平均残業時間は2017年の33.5時間から19年は26.1時間に減少、離職率は17年の8.5%から19年は1.2%まで改善されました。業務が効率化されたことにより、売上は最近2年間で2割増えました。
 働きやすい環境を生み出すには、風通しのよさも重要なポイントになります。コミュニケーションの活性化を目的に、役付きの従業員は年間1万円、一般従業員には年間5,000円を支給しています。例えば、社外で一緒に昼食を取りながら、上司が部下の思いに耳を傾けるなどのシーンを想定して予算化したものです。
 社内イベントは春の新入社員歓迎会、夏のバーベキュー、秋のバス旅行、冬のクリスマス会と四季折々に実施し、11人いるベトナム人技能実習生の参加率も高いそうです。

地域貢献で地元消防団に所属している従業員もいます。ボランティア休暇制度を導入し活動を支援しています。

「ものづくりの喜びを感じてほしい」

 同社では10年ほど前から2カ月に1回、兵庫工業会のデリバリー研修会を続けています。安全講習をはじめ、職場環境維持に必要な5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)からIoT(モノのインターネット)に至るまで、ものづくり全般を学び、半年に1回、従業員が「カイゼン」をテーマに発表します。
 松尾社長は「働きやすさの先に働きがいを感じてほしい。自分たちが手掛けた製品が多くの方の役に立っていると実感できること。それがものづくりに携わる者の醍醐味です」と話します。
 ワーク・ライフ・バランスの取組が、単に仕事と生活のバランスをよくすることにとどまらず、休養、自己啓発、健康増進、趣味、子育て、地域社会との関わりなどにおいて全従業員が豊かな人生を送ることにつながるよう、チャレンジは続きます。

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