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ピンチを機に社内にWLB促進を訴え 時短やダイバーシティ推進につなげる

SECカーボン株式会社

所在地 尼崎市潮江1-2-6 尼崎フロントビル6階
事業内容 炭素製品の製造、販売
従業員数 299人
冊子掲載 平成25年度 第5回ひょうご仕事と生活のバランス 企業表彰事例集
公開日 2013年11月19日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

SECカーボンは、ワーク・ライフ・バランス(WLB)に対する会社の意識が決して高いわけではありませんでした。転機になったのは、尼崎労働基準監督署から「労働時間の管理が甘いのでは」と指摘を受けたこと。これをきっかけに総務部門が社内の関係者に積極的に時短を働き掛けることで、各種施策の導入につながり、残業時間の短縮や有給休暇の取得増に結び付きました。

パソコン使用で社員の出退勤が把握できるソフトを導入。残業時間がより把握しやすくなりました。

労基署の指摘をきっかけに

同社は、鉄スクラップを溶かして鋼をつくる電炉用の人造黒鉛電極などを製造しており、特にアルミ電解炉用の黒鉛電極では世界トップシェアを誇っています。

WLBについては法定どおりの取り組みを続けていましたが、転機となる出来事が2010年にありました。労働基準監督署から「労働時間の管理が緩い」と指摘を受け、立ち入り検査が入ったのです。

「これをマイナスの出来事と捉えるのではなく、社内体制を構築するよい機会と考え、時短の取り組みのさらなる強化を経営陣に提案しました」と話すのは総務部長の岩井清一さんです。

ひょうご仕事と生活センターのセミナーを積極的に活用しています。

パソコンを使って退社時刻を管理

特に効果が出たのは、一人ひとりの社員がパソコンをいつ開けて、いつ閉じたかを把握できるようにしたソフトウエアの導入です。この記録と、本人から申請のあった退勤時刻に30分以上の差異があれば警告が出るようにし、本人に理由をただすようにしたところ、残業時間の短縮につながりました。

もともと全社としては残業の少ない会社でしたが、残業の多かった部署のある月では、1人当たり平均残業時間は2011年度の45.1時間から2012年度には16.1時間に大きく改善。会社全体でも4.7時間から3.5時間に減少しました。併せて、有給休暇の消化率が低かった管理職に取得を徹底したところ、2010年度の32%から、2012年度には50%へと消化率が上がりました。

「管理部門では、残業時間の当月実績と翌月の目標を各部署管理職が集まる会議で共有するようにしました。自分の部署の数字が悪いとおのずと取り組みの意識が高まり、より効果が上がることにつながったのではないでしょうか」と、岩井さんは分析します。

各部署で残業を減らす取り組みに成果が現れています。

ダイバーシティの意識も醸成

多様な人材が混在することで組織の活力を高めるダイバーシティの取り組みについても遅れが目立っていました。「女性社員の比率は4%程度。以前から問題意識はありましたが、女性の活用が進まない実態がありました」

こうした実態を打破するべく、まず2012年秋に女性の活躍を後押しする取り組みとして、セクハラ・パワハラに関する社則を見直し、啓発セミナーを開催しました。

その後、兵庫労働局雇用均等室からのアドバイスを参考に、社内で女性が活躍できる社内基礎づくりに取り組むようになりました。

まず女性社員にアンケート調査を行い、なぜ活用が進んでいないのか、今後どう活用を進めていくのか、について女性社員からの声を集めました。これを契機に、ひょうご仕事と生活センターの協力を得ながら、2013年7月に役員と担当部長、同センターの主任相談員でダイバーシティコンサルタントの北尾真理子さんを交えて座談会を開催し、女性社員を増やしていく必要性に対する理解を深めました。その結果、女性新卒採用の拡大に2015年度から取り組むこととなりました。

ダイバーシティの重要性が社内で醸成されつつある中、2012年度には同社初の外国人社員となる中国人を採用しました。また高齢者の一層の活躍を狙い、再雇用制度の見直しも進めています。

「社内の意識が変わらなければワーク・ライフ・バランスの取り組みは進まない。ピンチをチャンスと捉えて、社内の意識改革につなげていくことが大切と感じました」と岩井さん。さらなる変革に向け、取り組みは続きます。

初の外国人社員(左)となる中国人を採用。ダイバーシティの重要性を意識しています。

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