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院内整備や時間短縮で働きやすい職場を実現

医療法人社団 わく歯科医院

所在地 丹波市氷上町成松460-1
事業内容 歯科医院
従業員数 24人(男性4人、女性20人)
冊子掲載 令和元年度WLBな会社ガイド
公開日 2020年2月27日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

現理事長は3代目、8年後には開院100年を迎えるわく歯科医院。患者の急増でスタッフが疲弊するという問題点を、院内の整備や診療時間の短縮、奨学金制度の導入など、さまざまな取組で解決してきました。親子2代で勤めるスタッフも誕生するほど働きやすい職場となり、医療の質も向上しました。

患者が急増しスタッフが疲弊していたことを機に変革に着手。皆が笑顔で働く職場になりました。

スタッフが働きやすい職場に変革

 丹波市で診察台10台を備える大規模歯科医院を運営。歯科医や歯科衛生士などのスタッフの数は24人に上ります。歯科医院の数は「コンビニエンスストアの1.2倍ある」といわれ、3代目として存続を考えた和久雅彦理事長は、コンサルタントによるマーケティングを実施。イベントを開催するなどして患者サービスの向上を図りました。その結果、患者は増えたものの、今度は「予約が取れない」「待ち時間が長い」といった問題が出てきました。加えて、長時間勤務などでスタッフが疲弊して整理整頓まで手が回らず、院内に物があふれ安全性や清潔感が損なわれるという、スタッフサイドの問題も抱えるようになりました。
 「患者さまの満足度だけを考えてしまった結果でした。スタッフが働きやすくなるよう環境を整えることが、医療の向上につながると気付きました」と和久理事長。2012年から、職場環境の向上を目的とした改革に乗り出しました。
 まず、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)の徹底です。カルテや備品がどこにあるかひと目で分かるようにカルテ棚や診療室を整理したり、患者とスタッフの動線を完全に分離したりと、院内を再整備することで作業の効率アップを目指しました。
 一方、9時から20時まで開けていた同院では、スタッフの勤務はシフト制を採用していました。しかし、夜遅い時間帯に勤務できる人が少なく、一人にかかる負担が大きくなっていました。そこで、同年、思い切って診療時間を18時までに切り上げ、シフト制を廃止。全員が9時から18時まで働く形態に変更しました。
 さらに、シルバー世代の滅菌専属スタッフを採用し、従来は歯科衛生士が行っていた患者誘導前の準備と治療後の片付けを任せました。これにより、歯科衛生士の作業時間は患者1人当たり60分から45分に。相乗効果として、よりきめ細かい丁寧な治療ができるようになり、患者の満足度も向上しました。

種まき事業の一つである小学生の職業体験。

長期スパンで人材を育成

 ワーク・ライフ・バランスを図る上で人員のさらなる充足は必須です。しかし歯科衛生士の求人倍率は18倍、その上地方でのなり手が少ないこともあり、専門職の求人は困難を極めます。そこで、未来の歯科業界関係者を増やすための「種まき事業」にも精力的に取り組んでいます。子ども向けに歯科の仕事体験を実施しているほか、中学生の職場体験「トライやる・ウィーク」や専門学校生のインターンシップを積極的に受け入れています。また、高校生へのガイダンスや進学支援を展開。歯科衛生士を目指す人には100万円、保育士を目指す人には80万円を支援する奨学金制度を整備しています。「卒業後は当院で専門職として働いていただきます。保育士は市内の保育所のほか、将来、院内にスタッフの託児所を設置することも視野に入れた支援です」と和久理事長。同院のガイダンスや支援により、これまでに7人が専門学校に進学しました。

年1回スタッフ全員が参加する予算委員会。財務状況をオープンにし改善策を話し合います。

親子2代で働くスタッフも

「私たちは良心と愛に基づいた医療の実践を通し、関わる全ての人々の幸せを創造します」という理念を掲げる同院。理念を浸透させるため、年に一度、タウンミーティングを開催しています。タウンミーティングには、患者サイドで発言する「サポーター」と呼ばれる患者も参加。「スタッフと患者、双方の幸せを創造したい」という思いを伝えています。
 また、予算委員会で財務状況を透明化し、戦略会議といった経営に関する会議にもスタッフ全員が参加。今後の課題や改善策を話し合います。
 診療時間を短縮したにもかかわらず、年間の患者数は約1.5倍に増えました。「患者数は増えているのに、以前より仕事がとても楽です」と歯科衛生士の後藤ゆうかさん。親子2代で働くスタッフも2組います。
 「自分の子に自信を持って勧められる仕事と職場になったかなとうれしく思います。ワーク・ライフ・バランスの取組がスタッフの満足度を上げ、医療の質の向上につながり、結果として患者数も増えるという、いいサイクルが出来上がっています」と和久理事長。働くスタッフにも、地域にも信頼される老舗歯科医院として、今後も診療を続けていきます。

親子で働いているスタッフが2組います。

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