社員発信の新企画が続々挑戦し続ける風土を醸成

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

日本盛は、2010年に「もっと、美味しく、美しく。」というブランドメッセージを新たに掲げ、社員からのアイデアを実践する「もっと活動」に取り組んでいます。その中で発足した「ワークライフバランス推進チーム」からさまざまな制度が生まれ、同時にチャレンジ精神も育まれています。

「もっと活動」でチャレンジ精神を育む

　130年の歴史を持つ同社ですが、創業200年、300年を超える会社が多い灘五郷の酒造会社の中では〝若い〟会社です。「後発メーカーとして常に新しいチャレンジを続けてきたからこそ今があります」と、人事総務部の小澤美夏さん。創業120年を迎えた2009年、「もっと、美味しく、美しく。」というブランドメッセージを新たに発信しました。それに合わせて、社員から上がってくる声を生かし、チャレンジする風土をつくっていくために、もっと～しようという思いを込めた「もっと活動」を展開。社員全員が、さまざまなテーマで設けられたチームに参加し、意見やアイデアを出し合い、実践につなげています。
　その取組から、阪急西宮北口駅の駅ナカで新鮮な生原酒を量り売りする事業が生まれ、大きな評判を呼びました。さらに、生原酒ボトル缶という業界初の商品が誕生し、阪神甲子園球場で生原酒サーバーによる日本酒を提供する事業に発展しました。「もっと活動」は、毎年全社員を集めた活動成果報告会の場で発表され、優秀な事例は表彰されています。

社員の声をもとに制度を新設

　こうして育まれてきたチャレンジ精神は、ワーク・ライフ・バランス（WLB）の取組にも生かされています。3年前には「もっと活動」の1グループとして「ワークライフバランス推進チーム」が発足。そこで出された社員の声から、さまざまな制度が生まれています。
　レクリエーション行事補助金制度もその一つ。1人1回2,000円を上限に年1回補助していたのを、2018年7月からは、1人1回5,000円を上限に、回数は年2回までと、拡大しました。すると、本社から阪神甲子園球場まで歩いて野球観戦し生原酒サーバーを楽しむウォーキングツアーをはじめ、登山、ボウリングなど社員主催の企画が次々に生まれ、参加者も増えていきました。その結果、17年度にはゼロだった同制度の利用人数が19年度は10月末時点で既に130人となっています。「副次的な効果として社員同士のコミュニケーションが活発になり、新しい企画を生み出す土壌が育まれていると感じています」と小澤さんは話します。
　同社では早くから他社にはない独自の制度が設けられてきました。有給休暇は通常入社半年後から付与されますが、同社では入社時に6日、半年経過後にさらに4日追加付与されるようになっています。　既存の制度についても、社員からの声を踏まえ、柔軟に改めてきました。例えば、子育て支援のための時短勤務制度。以前は勤務時間、時間帯別に4つのパターンから選べるようにしていましたが、通勤時間の長い社員に配慮し、「9時～15時半（勤務時間6時間半）」という5つ目の選択肢を設けました。

社員研修制度の充実で成長の機会を

　今後は、在宅勤務制度の導入、営業職へのフレックス制度導入、介護休暇の取得促進などを検討課題に挙げています。また、WLBの実現によって生み出された時間を、社員の成長につなげていくための教育に充てる取組も進めています。
　2018年から導入した研修制度は、約200の研修メニューの中から各自が期待する役割などを上長と確認の上、受講内容を選ぶ形式で実施。19年からはもっと受講したいとの声を受け、1人3講習まで無料で受講可能としました。今後は階層別にターゲットを絞った研修を予定しています。
　「社員の声を聞きながら、常に時代に合わせて制度を充実させ、ワーク・ライフ・バランスの意識向上につなげていきたい」と小澤さん。チャレンジできる風土の醸成に向け、さらに取組は続きます。