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師長と看護師の関わりが密になり 離職率は大幅に低下

医療法人社団魚橋会 魚橋病院

所在地 相生市若狭野町若狭野235-26
事業内容 病院
従業員数 294人(男性73人、女性221人)
冊子掲載 平成24年度 第4回ひょうご仕事と生活のバランス 企業表彰事例集
公開日 2012年11月21日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

相生市西部の恵まれた自然と静かな療養環境の中に立つ魚橋病院。周辺には福祉施設も併設されており、医療、看護、介護、福祉が連携して治療、ケアに当たっています。看護師長が率先して看護師同士のコミュニケーションを円滑にする取り組みに力を入れ、やりがいを高めるように努めた結果、離職率の大幅な低下につながっています。

看護師長らが互いの職場の良い点を出し合う。縦割り意識をなくすのに効果的。

グループワークで長所を出し合う

2012(平成24)年11月中旬、病棟1階の会議室で、あるグループワークが開かれました。メンバーとして集まったのは、8つの病棟ごとに配置されている8人の看護師長です。

この日のテーマは「お互いの良さを発見する」。師長たちが勤務中に8つの病棟を巡回する際にそれぞれが普段感じていることを模造紙に書き込んでいきました。「看護師一人ひとりがよく考えて行動している」「助手さんが一生懸命働いている」。各師長から次々に声が上がり、見る間に模造紙が文字で埋め尽くされていきました。

同院は精神科を母体に発展してきた総合病院です。このため「看護師の意識が、いかに患者さんが事故を起こさないようにするかという安全面にばかり向いて周囲を見渡す余裕が欠けていました」と看護部長の服部玲子さんは分析します。看護師長と看護師、看護師同士、看護師と薬剤師、理学療法士、作業療法士など他のコメディカルスタッフのコミュニケーションもなかなか取れておらず、離職率も20%近くになっていたそうです。

師長が各病棟を回る時間的余裕を

同院ではかねてより、コミュニケーション向上のために何をすればよいか模索していました。ワーク・ライフ・バランス(WLB)の取り組みを始めることになった直接の引き金は、2008(平成20)年に他院で起こった看護師の過労死のニュースを知ったことでした。

「一人ひとりの状況を気に掛けながら何かあればケアできる雰囲気づくりから始めようと思いました」と服部さん。

看護師に、看護師を目指した思いや大切にしているもの、目標、研修履歴、振り返りなどを記録できるキャリアシートを配り、何を望んで仕事をしているのかをまず明確にする作業から始めました。

師長はそれまで夜勤明けの日は朝に帰宅する勤務形態となっていましたが、夜勤明けにそのまま昼勤を入れるようにしました。こうすることで、他病棟を回る時間的な余裕ができ、各師長と看護師のコミュニケーションが密になりました。

今春からは、各看護師に責任を持たせやりがいにつなげるため、一人の看護師が一人の患者の入院から退院までをケアする担当制を導入しました。これには他の医療従事者も含めたチーム制でサポートすることが必要になりますが、「コミュニケーションが密になったからこそできるようになったこと」と服部さんは言います。

「良い点」を列記することで逆に問題点が浮かび上がることも。新しい課題を意識化・共有化できます。

人となりが分かる院内紙も発行

今年4月からは「グリーンタイムズWORK(WLBだより)」というタイトルの院内紙の発行も始めました。

院長のインタビューコーナーのほか、医師の紹介コーナー、病棟・部署紹介コーナーが設けられ、仕事の内容や人となりが伝わってくる記事内容となっています。また、冒頭にはWLB豆知識として、毎回、各種休業制度や短時間勤務制度をはじめWLBに関するさまざまな情報が紹介されています。「ワーク・ライフ・バランスという考え方があるということをまず知ってもらいたいと思いました。それぞれの働き方を見直すことにもつながっていけば」と服部さんは期待しています。

将来の看護師候補である看護助手の育成にも力を入れており、同院に勤務しながら看護学校に通うことを応援しているのも特長です。

最近実施した意識調査では「自分が大切にされている」と感じている看護師の比率は前回調査と比較して改善し、離職率も大幅に下がっています。

ケアの重要な担い手である看護助手の養成に注力。看護学校の通学にも配慮。
毎月全職員に配布される院内紙は「ワーク版」「ライフ版」ペアで発行。WLBの豆知識の紹介も。

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