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役割分担で効率化を図りやる気も収益力も向上

公益財団法人甲南会 甲南介護老人保健施設

所在地 神戸市東灘区向洋町中3‐2‐5
事業内容 介護老人保健施設
従業員数 61人(男性10人、女性51人)
冊子掲載 平成30年度版WLBな会社ガイド
公開日 2019年2月6日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

甲南介護老人保健施設がワーク・ライフ・バランスの推進を本格化させるきっかけになったのは、育児中の職員が増え、他の職員にしわ寄せが生じたことでした。公平性に配慮した取組を進めた結果、おのおの専門的な業務に向き合う余力ができ、ひいては施設の収益力向上にもつながりました。

CS委員会のメンバーら。スタッフの公平性を高めるためにアイデアを出し合いました。

介護助手の採用により負担軽減

 3年前、育児中の職員が数名重なったことで、短時間勤務制度の利用が増え、突発的な休暇の取得も生じました。周りの職員に仕事が集中して休みも取れない状況が続き、「やむを得ないこと」と頭では分かっていても、現場には疲弊感が募っていたといいます。
 事態を重く見たCS(顧客満足)委員会のメンバーが立ち上がり、全員が公平性を感じられるようにするためにはどうすればよいかを議論。その中で、全ての職員が長期休暇や記念日休暇を取れるようにしようとの提案があり、そのためのアイデアが数多く出されました。
 まず、介護助手を新たに5人採用しました。助手にどのような仕事を委ねるかを検討することは、介護福祉士や看護師が本来行うべき専門的な役割は何かを考え直すきっかけになりました。
 例えば、それまで介護福祉士が担当していたベッドメイキング、入浴時の衣類の準備など資格外の人にもできる作業は、介護助手に任せました。介護福祉士は余力が生まれた分、在宅に移る要介護者が帰宅前にマスターすべき動作を決めるために実施する家庭訪問、要介護者のリハビリのために行うレクリエーションの企画など、本来の業務に時間をより割けるようになりました。

衣類の整理やシーツ交換などを行う介護助手。他のスタッフの専門性の追求につながりました。

意識を変えたCS委員の言葉

 次に、全ての職員が年次有給休暇を取りやすくするため、取得希望日の事前調整を始めました。その際、調整スケジュール表に添えられたCS委員のメモが、職員全体の意識を変えたといいます。そこには「子育て中のママさん、パパさんや介護をされている方、また学習などに熱中されている方、ご苦労さまです。でもちょっと考えてみてください。その休みを確保するために、黙って働いているスタッフもおります。独身やし、子どもおらんし、といつも控えめにされているスタッフにも優先的にリフレッシュしてもらえたらと…優しさ返し。お互いさま、相身互い、助け合ってよい職場環境を目指しましょう」と書かれていました。
 また、他部署の要介護者をケアすることになった際に戸惑うことがないよう、ケアの統一を図るカードを導入。車いす利用者の車いすの後ろに、その人が歩行時やトイレ時にどのような介助を必要としているか、尿パッドの種類は何かなどが書かれ、担当者以外でも円滑にサポートできるようにしています。

職場環境を網羅した「CS新聞」を発行。スタッフ全員が目を通しています。

仕事に対する満足度も向上

 CS委員会は各部署から1人、計10人で構成され、毎月1回ミーティングを開いてより働きやすい職場にしていくためのアイデアを出し合っています。
 2017年12月には、全職員に向けて「職場環境への要望」を1人10件以上出してもらうアンケートを実施しました。「デイケアの部屋の音響を良くしてほしい」「階段の扉をカードキーで開閉できるようにしてほしい」など374件の要望が寄せられ、解決できるものはすぐに実施しました。
 18年3月からは「CS新聞」を隔月で発行。対応できない要望には理由を掲載し、対応できるものについては進捗状況を知らせています。また、全ての要望をテーマごとにまとめて館内に掲示しています。新聞作りを担当する看護師長の平野清美さんは「自分の要望がどうなっているのかを知らせることで、関わっているという実感を得てもらえます」と、その効果に期待を寄せています。
 こうした取組の結果、年次有給休暇取得日数は2014年の1人平均7.2日が18年には9.7日に増え、超過勤務時間は7.8時間から4.8時間に減りました。仕事に対する満足度も「そう思う」「ややそう思う」を合わせた比率が、2年前の60%弱から70%強に上昇しています。
 赤字が慢性化していた収益状況も、ここ数年で黒字が定着しました。業務負担の軽減が、患者に満足してもらえる対応につながり、それが収益の向上にもつながったと分析しています。

アンケートで得た要望を「職員の声」として掲示。解決できるものはすぐに実施しました。

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