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新社屋と長期プランで女性も働きやすい職場に

伊福精密株式会社

所在地 神戸市西区伊川谷町潤和字西ノ口750番地6
事業内容 各種精密金属加工
従業員数 40人
冊子掲載 仕事と生活のバランス vol.39
公開日 2018年9月25日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

神戸市西区の神戸鉄工団地内で自動車部品などの精密金属加工を手掛ける伊福精密株式会社。新社屋の建設を機に、今後20年間を見据えた事業と組織の長期プランを立て、ワーク・ライフ・バランスを重視した、誰もが働きやすい職場づくりを進めています。

●夜勤をなくし勤務形態を工夫

同社は1970年、先代が旋盤加工業者として創業。1999年に現代表取締役社長の伊福元彦さんが家業を継ぐと、全て手作業でアナログだった業務をデジタル化したほか、関西初となる電気加工の工作機を導入、作業効率を上げ、仕事の幅も広げていきます。
やがて取引先から量産を求められるようになり、従業員を増員。それまで男性だけだった職場に、女性の派遣社員やパートタイマーを雇用しました。「トイレや更衣室など、女性が働く前提では建物を造っていませんでしたし、勤務は日勤と夜勤の2交代制だったので、大きな改革が必要でした」と振り返る伊福社長。ちょうど隣接する企業の工場が閉鎖することになり、そこを買い取って新社屋を建設、2018年1月に移転しました。
さらに、勤務形態などソフト面でも見直しを検討。「コンサルタントの指導を受けて2016年から20年間の事業と組織の長期プランを立て、それを実現するための方法を従業員の意見も聞きながら考えました」
まず、勤務形態は夜勤をなくして日勤のみの3交代制に。工場の従業員を3つのグループに分け、それぞれ始業開始を7時、9時、11時、休日は日曜に加えあと一日は水曜、木曜、土曜とずらし、3週間ごとにシフトを変えています。「従業員はそれまで平日に休むことがなかったので戸惑ったようですが、いざ導入してみると、平日に病院に行ったり遊びに出掛けたりできて便利だと好評です」
また、それまで夜間に取引先に製品を出荷する際、日勤の従業員が残って対応していたのを、取引先の了承を得て無人で出荷するシステムに変更。さらにパートタイマーの雇用による正社員の業務減少もあって、1カ月の残業時間は平均40時間から18時間に減りました。
「残業をすれば目先の売り上げは増えますが、長い目で見ると、従業員が無理なく働ける方が社にとってプラスになります」と話す伊福社長の思いの背景には、仕事で何度も足を運んだドイツの仕事に対する考え方がありました。「ドイツ人はプライベートを大切にし、よく終業後に家族と出掛けます。また、どの家庭でも子どもは親の勤め先を誇りに思っています。うちも従業員だけでなく家族からも良い会社だと認めてもらえたら」。その第一歩として毎年、正月明けとお盆に一日ずつ、従業員の家族を社に招いて、職場見学やバーベキューなどのイベントを行っています。

検品風景。毎月約40万個の製品を生産している

●女性管理職誕生を目指して

現在40人いる従業員の中で女性は15人、うち10人がパートタイマーです。パートの勤務時間は9時〜17時ですが、子どもがまだ小さいなど事情のある人は、15時に退社するなど短時間勤務も可能です。
「お子さんが体調を崩したときには、遠慮なく休んでもらっています。家庭を大切にしてほしいので」と話すのは、伊福社長の妻で総務の仕事を受け持つ照恵さん。自身も子育てを経験し、女性ならではの細やかな配慮で従業員をサポートしています。
社の20年計画には、「女性役員の誕生」も掲げています。「会社には女性の意見も必要です。業種柄、今は女性社員が少ないですが、全体の3〜4割になるように増やしていくとともに、女性管理職を育てていけたら」と展望を語る伊福社長。新社屋で心機一転、描かれたビジョンの実現を目指し、挑戦は始まったばかりです。

代表取締役社長の伊福元彦さん(左)と妻の照恵さん

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