女性同士で助け合いながら子育てや介護と仕事の両立を

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

神戸市須磨区の住宅街に事務所を構える株式会社ポータルズは、整骨院・接骨院・整体院専門のホームページ制作会社。従業員が助け合い、子育てや介護をしながらでも、可能な時間を使って働くことができる職場づくりに力を入れています。

子育て中の女性が働きやすい職場を

同社は2003年、代表取締役の宮内カオリさんがほとんど独学で学んだITスキルとイラストを描く特技を生かして一人でホームページの制作会社を立ち上げたのが始まりです。「働かなくてはならないのに幼い子どもを預かってくれる所が見つからず、自宅で子育てをしながらできる仕事をと考えました」
当初は、不動産会社やハウスメーカーをはじめさまざまな業界から舞い込む仕事を何でも請け負い、必死にこなしていました。しかし、「〝何でも屋″をしていても、結局何も極めることはできない」と悟り、取り扱う業種を整骨院・接骨院・整体院に絞ることを決意します。
さらに、仕事の依頼が増えるとともに一人ではさばき切れなくなり、2011年からは1日数時間程度のパート勤務の従業員を雇い始めました。「私自身、子育てが思うようにいかなくて悩んだ時期に、仕事という存在があり、頑張った分だけ成果が出る達成感を得たことが救いになりました」と振り返る宮内さん。子育てに奮闘している近隣の女性にもそのような場を提供できたらという思いを込め、パートタイマーの勤務時間はできる限り希望に応じ、休みも気軽に取れるように配慮しました。
その分、忙しい時に人手が足りず仕事が回らなくなることも出てきたため、フルタイムで安定して働くことのできる正社員も採用。育児中の女性が子どもの体調不良等で急に休まなくてはならなくなった場合も考えて、人員構成のバランスを整えていきました。
小さなマンションの一室から始まった会社は現在、事務所を借りて25人の従業員を抱えるまでに成長しています。従業員は全員女性で半数が正社員、子どもに手が掛からなくなり、パートタイマーから正社員になった人もいます。
また、従業員が増えたことで社長が全てを把握するトップダウン方式が行き届かなくなり、2013年からは案件別に社内を3つのチ－ムに分け、それぞれに責任者として「チーム長」を置いて、管理を任せるようになりました。
「チーム長にはパートさんもいます。勤務時間が短いだけで仕事内容は社員と変わらないので、賞与や有給休暇は社員と同じ待遇にしています。パートさんもやりがいを持って働いてもらえたら」と宮内さんは話します。

いつでも仕事をフォローし合えるように

同社では、全員が同じメールアドレスを使用するとともに顧客情報をクラウドで一元化。担当者が不在の時に急ぎの仕事が入った場合でも、同じチームの他のスタッフが顧客とのやりとりの履歴を確認し、いつでも仕事のフォローができる状態にしています。パートタイマーが勤務時間内に急ぎの仕事が終わらなかった場合は、残りの仕事を他の人がフォローするため、残業はほとんど発生していません。「皆がいつも〝お互いさま″という気持ちを持って助け合いながら働いています」と笑顔で話す宮内さん。
また、同社では出勤できない事情があった際に自宅で仕事ができる在宅勤務制度や、収入を増やすため規定の業務以外に自宅で別の業務を請け負う社内外注制度も導入しています。「子育てだけでなく、親の介護をしている人もいます。これから皆それぞれ年を取っていきますが、どんな事情を抱えてもできる限り働き続けられるような会社にしたいです」
今後は、在宅勤務制度をより利用しやすい環境を整えるとともに、「いつ私がいなくなったとしても、会社として存続できるよう、社の理念や人事制度など基礎を固めていきたいです」と思いを語る宮内さん。皆がいつまでも安心して働くことができる会社づくりに励みます。