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社員主体で育休・復帰支援制度を整備 定着には「お互いさま」の仕組みが必要

株式会社協同病理

所在地 神戸市西区大津和2-7-12
事業内容 各種試験・研究受託および医療関連サービス(病理学的検査・各種標本作製)
従業員数 18人(男性 7人、女性 11人)※2010年2月現在
冊子掲載 平成21年度 第1回ひょうご仕事と生活のバランス 企業表彰事例集
公開日 2010年3月1日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

社員が長く働き続けられる環境を整えることは、社員数の少ない中小企業にとってより切実な経営上の課題です。株式会社協同病理では、女性社員の妊娠が分かったことをきっかけに、社員によるプロジェクトチームを設置。本人の意思を尊重しながら、育児休業・復帰支援制度を整備し、併せて社員全員に負担がかからない仕組みを考えました。

生き生きと働く社員の皆さん。

専門集団ゆえの課題

同社は、医療機関や製薬会社などから受け入れた人体や動物などの細胞・組織を顕微鏡で観察できるように加工し、化学反応による物質検出、顕微鏡観察を通じて評価する事業を行っています。小川隆文社長は、「女性社員が多く、いずれ家庭を持ち、出産となったときに、その後も続けてもらえるだろうか」という悩みを抱えていました。

2005(平成17)年、小川社長は、育児休業・復帰支援制度を整備するため、社員の自主参加によるプロジェクトチームを発足させました。「私は掛け声だけ。社員たちが自分のこととして考えたアイデアを尊重しようと考えた」と話します。

しばらくして、女性管理職社員の妊娠が分かり、「出産後も働き続けたい」という本人の意思を受けて、さっそく制度の具体化に取り掛かりました。休業取得者が最も不安に感じていたのは、円滑に職場復帰できるかどうかということ。休業中はメールで業務報告を送り、2カ月に1度会社に来てもらい、会社の現状を伝えるとともに、取得者本人から不安に思っていることなどを話してもらう機会を設けました。

専門的な仕事だけに技術を身に付けるには多くの年数を要します。

じっくりと耳を傾ける大切さ

しかし、復帰を前に問題が持ち上がります。娘を保育園に預け、フルタイム勤務の正社員として働くことを考えていましたが、夫が異動して勤務形態が変わり、平日も休みを取らざるを得ない日が出てきたのです。「このまま辞めようかな」と弱気になっていた取得者に、プロジェクトチームのメンバー、大西和子総務課長が「本当はどうしたいの」とじっくり話す機会を持ちました。「ずっと働き続けたい」という本人の言葉を受け、プロジェクトチームでは、勤務の選択肢としてフルタイムと相互の乗り換えのできる短時間勤務制度とパートタイム勤務制度を新たに設けることにしました。

外部の力も積極活用

休業取得者はその技術もさることながら管理職としての重責を担っていました。休業中、その仕事をどうカバーできるのか。社員にアンケートをとり、プロジェクトチームで話し合った結果、新たに社員を採用せず、残った社員で仕事を分け合うことで意見が一致します。さまざまな思いを持つ社員の心をケアするためカウンセリングを行う一方、業務の効率化を図り、ローテーション制も導入。負担が平準化するように工夫しました。

兵庫県が推進する「ひょうご仕事と生活のバランス推進事業」の一環としてスタートした「多様な働き方モデル開発」のモデル企業となり、支援策を積極活用。「カウンセラーや中小企業診断士など専門家の助けを借りることができて助かった」と小川社長は振り返ります。

より働きやすい仕組みの整備をこれからも進めていきます。

「してあげている」では限界がある

休業取得者は2009(平成21)年5月にパートタイム社員として復帰。現在はプロジェクトチームのメンバーも2代目に交代し、次の制度構築に向けて議論を重ねています。小川社長は「いつまでも一部の社員のために『してあげている』ではどこかで必ず限界が来る。今後は、社員全員にとって『お互いさま』の制度にしていくことが大事」と話します。プロジェクトチームは、短時間勤務制度の取得対象者について、育児や介護に限らず、自己啓発のためにセミナーなどに通う社員も新たに対象に加えることを決めました。

「今後も、何か課題が出てきたときに社員のために最善の策を考えることで、より働きやすい仕組みを整えていくことができれば」と小川社長は話しています。

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