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負担減や職能要件の明確化で現場のやる気が向上

特定医療法人 社団 仙齢会 いなみ野病院

所在地 医療業
事業内容 1988年5月
従業員数 256人(男性47人、女性209人)
冊子掲載 平成29年度版WLBな会社ガイド
公開日 2018年2月8日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

人材確保の課題を解決すべく、職員の業務負担を軽減し、働きがいを高める仕組みを次々に採り入れてきたいなみ野病院。その結果、離職率が改善。スタッフの笑顔が増え、来院患者数の増加にもつながっています。

言語聴覚士(右から2人目)が行う嚥下(えんげ)の訓練を看護師もできるようにしています。

介護職ならではの仕事に専念

 同病院は、県内では数少ない医療、介護の機能を併せ持つ病院で、290床のうち介護保険病床が170床、医療保険病床が120床となっています。介護スタッフの多くは地元の高校から採用、研修を受けながら資格を取得し、働き続けるパターンが多かったといいます。ところが就職活動が売り手市場となり少子化も進んできた7、8年前から採用が難しくなり、人材確保が大きな経営課題となっていました。
 採用できた貴重な人材を、しっかり育て定着させるにはどうすればいいかを考え、さまざまな取組を行ってきました。
 その一つが分業です。「日々の業務で手いっぱいだと、とても教育を受ける余裕はありません。そこで、患者さんと触れ合う仕事だけに専念できるようにしました」と事務部の川渕悟副部長。例えば、掃除や洗濯、ベッドメイキングなどは新たに採用したフロアスタッフに、入浴は専門のスタッフに任せたほか、院内会議の議事録作成などについては事務部が支援チームをつくりサポートしました。
 この結果、各病棟で毎月154時間が新たに捻出できました。「患者さんと向き合う時間が増え、スタッフのモチベーションアップにもつながりました」と話します。

改善提案制度でやる気向上

 7年前からは業務の効率化に向けたひと工夫など、職員からの改善提案活動もスタートさせました。職種や病棟ごとにそれぞれ業務改善が行われていましたが、それを病院全体の活動にすることで、水平展開や業務の見直しにつながっていきました。例えば、接触機能療法における飲み込みなどを促す訓練は、これまで言語聴覚士が行っていましたが、やり方を簡便にしたことで、看護師もできるようになりました。保険点数も付き収益にも寄与しました。
 月1回、朝礼で全員の提案が紹介され、提案の貢献度に応じて500円から5,000円の副賞が用意されています。

オムツの補充作業。患者に直接触れない業務は専門のフロアスタッフが行っています。

職種ごとに職能要件を明確化

 また、これまでは各職種について業務の手順が示されているだけで、それぞれがどのレベルに達しているかを測る基準がありませんでした。そこで、職能要件書を新たに整備し、職種ごとに9つの等級に分け、各等級で業務に求められる遂行レベルを明確に文書化しました。これにより、一人一人が自身のどこが足りていないかがわかり、教える側、教わる側が同じ基準や方法でスキル習得に取り組むことができるようになりました。また、職能要件を満たせば等級が上がり、昇給にも反映されることから、仕事に臨む意欲の向上にもつながっています。
 こうした取組の結果、人材が集まりやすくなっているほか、離職率を2008年度と2016年度で比べると、介護職では27%から11%へ、看護職では19%から6%へと大幅に改善しました。来院患者数も着実に増えつつあります。「以前よりスタッフに余裕が生まれ、患者さんと笑顔で接することができています。それが患者さんにも伝わっているのだと思います」と看護部の藤森和恵部長は変化を実感しています。

子育て中のスタッフが利用できる「子ども園」が隣接。週2回24時間保育を実施しています。

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