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甲南大学生活協同組合 32歳で150人を束ねるトップに 後に続く女性リーダーの育成も

甲南大学生活協同組合

所在地 神戸市東灘区岡本9-6-4
事業内容 大学内食堂の運営、書籍、生活用品の販売、旅行代理店業務など
従業員数 150人(パート含む)
冊子掲載 情報誌 vol.8 2011年夏
公開日 2011年6月1日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

2010( 平成22)年10月、甲南大学生活協同組合の専務理事に32歳の若さで就任したのが内田真紀子さん。男性ばかりの職場の中に一人飛び込み、結婚、出産を経ながら、強い責任感とリーダーシップでトップに上り詰めました。後輩の女性職員もその背中を見て、「いつか内田さんのようになりたい」と意欲を燃やしています。

甲南大学生活協同組合 専務理事 内田真紀子さん

組合員とのコミュニケーション大切に

昨秋、専務理事に就任した内田さんは、生協のロゴマークを一新することにしました。生協の設立理念である「each for all all for each( 一人は万人のために 万人は一人のために)」の文字が風見鶏の中にかたどられたデザインです。「組合員である学生に対しても、そして生協の職員に対しても、生協の原点に立ち返ってできることに取り組んでいきたいですね」と話します。

その具体的な表れが「ひとことカード」。組合員である学生から寄せられた改善の要望に回答するためのカードですが、質問の内容は恋愛相談から日常のふとした疑問まで多岐にわたります。店舗に関わること以外の内容については内田さん自身が回答し、今年からはカードを額に入れて店舗内に張り出すようにしました。あらゆる難問、奇問にも真摯に回答するその内容に、立ち止まって読む学生の姿が絶えません。「組合員一人ひとりの思いを大切にして、みんなのための生協なのだということを感じてもらえれば」と内田さんはカードに込めた思いを語ります。

甲南女子大学を卒業した内田さんが、甲南大学生協に就職したのは10年前。甲南大学生協と甲南女子大学生協の専務理事を務めていた現専務理事スタッフの隅田幸博さんが「近い将来、甲南女子大学の卒業生から専務理事を輩出したい」との思いから大学の教員に相談を持ち掛け、名前の挙がった内田さんに白羽の矢を立てたのでした。

内田さんが最初に配属されたのは、生協全体の事業を把握できる経理部門。店のスタッフが理解しやすいように決算書の内容をグラフにして、努めて好調な実績を知らせ、モチベーションを高めるように計らいました。「まず相手を認めなければ自分も認めてもらえません。いいところを伝えておけば、おのずと悪いところにも目が行き、頑張らなければという気持ちになるものです」と内田さん。机上の計算だけでなく、常に現場を歩きながら実情を踏まえた指摘をする内田さんに、当時男性ばかりだった職員たちも納得しました。

「いくらこちらが期待しても、周囲が認めてくれなければリーダーにはなれません。内田さんは期待以上のことをしてくれました」と隅田さんも振り返ります。

まずは相手を認めることから

出産や育児休業を経て

26歳で結婚し、すぐに妊娠しました。「出産、育児をしながら務まるだろうか」と不安を抱く内田さんを、隅田さんは「辞めるなんてことは考えるな」と諭し、制度として整っていなかった出産休暇、育児休業を取得できるようにしました。

職場復帰してからは、子どもを保育園へ迎えにいくため午後6時には仕事を切り上げなければならず、おのずと自分が抱えている仕事を現場に任せていくことが求められました。そこで、権限と責任を現場に委譲し、現場でどこまでを判断すべきなのか明確なルールを設けました。2007(平成19)年に甲南女子大学生協の専務理事に昇格した後、2人目の娘を出産。不在の間、代理を務める後輩女性のために60枚に及ぶ資料を作って渡し、育児休業中もパソコンで常に職場と連絡を取り合いました。子どもを抱いて役員会に出席せざるを得ないこともありましたが、懸命に責務を全うしようとする姿に周りも温かい目で見てくれたといいます。

常に現場を歩くようにしている内田さん。職員に対しても、組合員に対してもコミュニケーションを大切にしています

より働き続けやすい環境を

2010(平成22)年10月から甲南大学生協の専務理事も兼務する内田さんの大きな使命は、女性の後輩を育てること。隅田さんが設立に関わった神戸薬科大学の専務理事も兼ねるようになると、まず甲南女子大学の専務理事を後輩に任せました。今年入社してきた2人の女性職員は口をそろえて「私も結婚、出産をして専務理事になりたい」と話しているそうです。また、「女性がもっと働きやすくなるには、男性職員の意識も大切」と、男性職員には育児休業の取得を促しています。今後は、育児休業制度など、働き続けやすい仕組みをしっかり制度化していく考えです。

「女性が活躍できるということを全国の大学生協にも知らしめたい」と隅田さん。その道を内田さんがしっかりと切り開いています。

育児をしながら専務理事の激務をこなす姿が後輩に刺激を与えています
良き理解者である隅田さん(右)の助言も受け、さらに働きやすい職場づくりを考えています

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