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「社員は家族」との思いを次世代に引き継ぐために

松谷化学工業株式会社

所在地 伊丹市北伊丹5-3
事業内容 加工でんぷん、食物繊維等の製造・販売
従業員数 544人(男性392人、女性152人)
冊子掲載 令和5年度WLBな会社ガイド
公開日 2024年2月5日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

創業以来「社員は家族」との思いを大切に守り続けてきた同社。価値観が多様化する中で、その伝統を次世代に継承するため、社員の声を制度に反映したり、他部門を知るための社内大学を開校したりと、さまざまな取組を予定しています。

今春スタートの社内大学のプレ開校として、製造部門を知るための工場見学ツアーを実施しました。

会社の根底に「社員は家族」

 1919年の創業以来、「でんぷん」一筋に事業を発展させてきました。洗濯のりなどの工業品からスタートし、現在では食感やつや、保水性などの特性を加える食品用でんぷんが主力を占め、近年はでんぷん由来の食物繊維「難消化性デキストリン」、甘みを持ちながら糖の吸収を抑える希少糖アルロースなどのでんぷん派生商品で、でんぷんの新しい価値を創出し続けています。
 創業当時から会社の根底に流れているのが「社員は家族」という考え方です。「創業者は戦後の食糧不足の時にも、社員だけは食べ物に困らせてはならないと調達に手を尽くしたそうです」と話すのは、執行役員管理本部長兼人事部長の寺園裕之さんです。社内行事には家族を招き、節目ごとのパーティーも家族参加で開いてきたこともあり、親子や兄弟姉妹で働く社員、3世の社員もいます。「実は私も2世です」と寺園さん。
 おのずと互いに助け合う風土が根付き、働き方改革という言葉が浸透するずっと前から定時退社が普通であり、有給休暇の取得も当たり前。2010年に新卒採用を再開して以降、3年以内の定着率はほぼ100%を保っています。

創業100周年記念旅行で北海道へ。社員旅行にも多くの社員が参加します。

法律を先取りし社員の思いを制度に反映

 同社では2010年から、育児休業は子どもが満2歳に達するまで、育児のための短時間勤務制度は小学2年生に達するまで取得可能としたほか、介護休暇については導入当初から有給とし、現在は要支援1から取得可能で、対象者1人目から年10日付与するなど、常に法律を先取りした制度設計を行ってきました。その狙いについて寺園さんは「いずれ法律もこう変わっていくだろうと考えて法定基準以上の充実した制度とすることで、社員に大きな安心感を与えることができます」と話します。
 一方で、社員の価値観は多様化しています。2020年初頭に始まったコロナ禍で、働き方に対する意識も大きく変わりました。従来の制度では会社の一体感を保つのは難しいと考え、2023年4月、改めて組織や人材面における課題をあぶり出すべく、従業員意識調査を実施しました。
 その結果、若い世代を中心に実力や成果を反映した給与体系を求める声が多いことが分かりました。今後は給与制度を見直すほか、次世代のマネジャー候補を育成するための選抜型研修の導入に向け、検討を始めています。

リニューアルした社員食堂。食事はもちろん、打ち合わせをしたり、作業をしたりする社員も。

社内大学で他部門を知る

 さらに今春には、社内大学を開校します。「一言で言うなら、お互いを尊重し、信頼し合える場をつくるということです」と寺園さん。本年度はプレ開校とし、製造部門を知るための工場見学ツアーを実施しました。他部門の現場を知ることで縦割りの考え方を打破し、状況をおもんぱかり、助け合う機運が育っていくことを目指します。
 他にも、チーム意識の醸成を目的に部門横断で行うボードゲームや、血液型や世代別のフリートークの機会をつくる予定です。「若い世代に権限を持たせ、教え合い、学び合う機会を設けることも考えているところです。一朝一夕にはいかないと思いますが、周りを理解し、助け合う風土が根付くことで10年後には大きな推進力になるはずです」と寺園さんは期待を込めて話します。

チーム意識の醸成と仲間の個性を知るために、マネジメントを体験するボードゲームを部門横断で行っています。

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