表彰事例紹介一覧へ戻る
心理的安全性が生み出すイノベーションを目指して
フジッコ株式会社
所在地 | 神戸市中央区港島中町6-13-4 |
---|---|
事業内容 | 各種食品の製造販売 |
従業員数 | 1,525人(男性911人、女性614人) |
冊子掲載 | 令和5年度WLBな会社ガイド |
冊子PDF | 詳細をみる |
公開日 | 2024年2月5日 |
※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。
ワーク・ライフ・バランス(WLB)を実現するための土台として、心理的安全性の高い職場づくりを推進する同社。誰もが率直に話せる風土が根付きつつあります。また、企業風土改革に向けた思いを従業員に伝えるべく、トップ自ら社員と対話を重ねる機会を設けています。

心理的安全性の高い職場へ
塩こんぶやとろろ昆布、煮豆など、各種食品を食卓に届けている同社。かつては、残業が多い、有給休暇や男性の育児休業が取りにくい、女性管理職比率が低いなどの課題を抱えていました。そこで、2017年にダイバーシティ推進の専任組織を新設。係長や主任クラスの女性社員を対象にキャリアについて考える女性リーダー研修や、子育て中の従業員が悩みを相談し合える場づくりなどを進めてきました。また、男性が育児参加することで女性の社会復帰がスムーズになるとの考えから、「パパ応援休暇(男性が取得できる独自の特別休暇)」の取得を呼び掛けました。
一方で、そうしたWLBの取組を進めていくためには、誰もが考えていることを率直に話し、自分らしくいられる環境が大切と考え、2021年に心理的安全性の高い職場づくりに着手しました。その取組の一つが、全社員を対象にした「アンコンシャス・バイアス研修」です。「女性だから、男性だからという思い込みを持っていませんか」「職場にはどのようなアンコンシャス・バイアスがありますか」など、無意識の偏見について参加者で議論しました。

研修で社員の意識改革を
また、管理職を対象に、共に働くスタッフのWLBを考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業務で結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむ「イクボス」の研修も実施しました。「研修を受けた役員や管理職の意識が変わったことで、取組に弾みがつきました」と人事総務部ダイバーシティ推進グループの中村美理さんは話します。
神戸、東京の2拠点のキッチンで「食育料理研修」を開催。2023年10月には、未就学児の子どもがいる男性社員16人が参加しました。自身も子育て中のシェフ社員を講師に、料理の基本となるだしの取り方や、小さい子どもも食べやすい肉の焼き方などを学びました。料理を終えた後は、東西拠点をオンラインで結び、「どうしたらWLBを実現できるか」をテーマにした座談会も実施しました。参加した社員からは「普段はなかなか聞くことのできない、先輩パパの育児と仕事の両立の仕方を教わることができました」との言葉が聞かれました。

トップ自ら社員に思いを
同社では創業60周年を迎えた2020年、企業風土改革と生産性向上を一体的に進める経営改革「ニュー・フジッコ」を代表取締役社長の福井正一さんから発信。その中で、生産性向上と働き方改革が重点施策に位置付けられました。これらの経営改革の中で、自社の存在価値を改めて見直し会社として目指す方向を示すために、パーパス・ビジョンを策定し、サステナブルなパーパス経営へ転換を図りました。
その思いを全従業員に浸透させるため、福井社長自らが国内全ての工場・事業所を訪問し、社員と対話を図る場を設けました。「正一」の画数にちなんで「六さん会」と名付けられた場は半年で43回に及び、447人との対話が実現。そこで社員から出された400近い要望に対しても、全て回答したといいます。
一連の取組の成果として、2016年に19.1時間だった1人当たりの月平均残業時間は22年に7.9時間に減少しました。また、有給休暇の取得率は21.8%から63.7%へ、女性管理職比率は3.2%から7.2%へと増加しました。
「心理的安全性の高い職場づくりを進めてきた結果、上司が部下の声にしっかりと耳を傾ける風土になりつつあります。それぞれの従業員が考えを率直に述べ、健全な対立からイノベーションが起こる組織に持っていくことが次の目標です」と同グループ課長の大塚ちかこさん。地に足の着いた取組を着実に進めながら、次のステージへ踏み出そうとしています。

事例を検索する
下記の項目をチェックして「検索する」ボタンをクリックしてください。