• 文字
  • 中
  • 大

HOME > 事例紹介 > 有限会社髙島産業

表彰事例紹介一覧へ戻る

従業員同士が助け合える 働き続けたい会社に

有限会社髙島産業

所在地 伊丹市桑津4-1-20
事業内容 中古衣料の輸出、古着の卸売・販売
従業員数 25人(男性7人、女性18人)
冊子掲載 令和5年度WLBな会社ガイド
公開日 2024年2月5日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

服のリユースやリサイクルを手がける同社は、ブランド、素材ごとに細かく分けて出荷する丁寧な仕事ぶりが高い評価を得ています。その分、人の手に頼らざるを得ないことから、従業員が働きやすい環境づくりを進めるとともに属人化を解消し、助け合う風土の醸成に努めています。

たくさんの服を手早く仕分ける冨田さん。積極的な提案が評価され、23年5月、パートから正社員に登用されました。

80歳を超える従業員も活躍

 廃棄された服を回収し、着られるものは東南アジアなどの国々に輸出するリユース事業と、着られない服については裁断し、機械油などの汚れを取る工業用ウエス(ふきん)などに加工するリサイクル事業を手がけています。近年「MADE IN JAPAN」の服は海外で人気があり、同社ではそうした服をブランドごと、素材ごとに丁寧に仕分けすることで差別化を図っています。「分けずに送ると必要とされない服まで交ざってしまい、結局ごみを輸出してしまうことになりますから」と専務取締役の髙島布后(ふみ)さん。そのような真摯な姿勢が評価され、海外でも同社の評価が高まっています。
 以前から子どものいるパート従業員が多かったこともあり、定時で帰ることが当たり前になっていたと言います。それが実現できるのも「培ってきた信頼があるから」と髙島専務。「当社の商品は待ってでも欲しいと言ってもらえるので、納期についても主導権を握れ、定時内で働くことができています」
 また、作業時に腰に負担がかからないよう、高さを自由に調節できる仕分け台や高齢者も力に頼らず使える裁断機を独自に開発。働きやすい環境を整えてきたことから、80歳を超える複数の従業員が現役で働いています。

ウエス加工担当の浅野さん(左)と、渉外業務の奥田さん。ともに80代で現役です。

多能工化と情報の共有化を進める

 しかし、2019年に従業員の心を一手に束ねてきた先代が病を患い出社できなくなると、トップダウン型組織のもろさが現れます。仕事が属人化していたため、それを盾にあぐらをかくベテラン従業員が増えたのです。
「コロナ禍、厳しい世の中です。会社を存続させるために、みんなで同じ方向を向いて力を合わせて頑張りましょう」。髙島専務が風土を変えたい一心で伝えた言葉に、ベテラン従業員の多くが去り、その一方で若手が入ったことで新陳代謝が進みました。
 新しい血に入れ替わったタイミングで、仕事の属人化を排除すべく多能工化と情報の共有化を推進しました。素材、ブランドで仕分ける作業について誰でもできるようマニュアルを整備。どう分ければいいか分からない服は足元に置き、1時間ごとに10分、教え合う時間を設けています。
 なぜ分けることが必要か、どうすれば会社の収益につながるかについての情報の共有も行いました。「服はブランド、素材ごとに100㎏ずつ梱包した袋が250個そろって初めて一つのコンテナで輸出することができます。梱包個数を可視化することで、今どの作業をすべきか優先順位をつけて仕事ができるようになりました」。利益は決算賞与として従業員に還元するようにしています。

仕事の属人化を防ぎ、多能工化を進めるため、業務内容や生産状況の情報を共有化。

1年でパートから正社員に

 従業員のモチベーションもみるみる上がっていきました。2022年5月にパートとして入社した冨田和美さんは、自身がファッション好きであることから「このブランドは別に分けた方が新しい商品になるのではないか」という提案を次々に行い、現在までに7ブランドの提案が採用されました。冨田さんの子育てが来春に区切りがつくことを知った髙島専務が「正社員にならないか」と打診。入社1年後の23年5月からは正社員として働いています。「会社に貢献したいという思いがますます強くなりました」と、冨田さんは生き生きとした表情で語ります。
「自分の仕事は社会の役に立つ、だからこそ、この会社で働き続けたいと思える人を増やしていきたい」と髙島専務。リユース、リサイクルの価値をさらに高めるとともに、働きやすく、皆で助け合える風土づくりに努めていきます。

ウエス加工の裁断作業。裁断機は安全に作業できるよう自社で開発しています。

事例を検索する

下記の項目をチェックして「検索する」ボタンをクリックしてください。