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独自の研修制度などで一人一人が輝く職場に

キング醸造株式会社

所在地 稲美町蛸草321
事業内容 食品製造業
従業員数 233人(男性168人、女性65人)
冊子掲載 令和5年度WLBな会社ガイド
公開日 2024年2月5日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

「日の出みりん」で知られる同社は1900年に創業した老舗調味料メーカー。「200年続く企業」を目指し、社内の他部門で働いてみる社員によるオーダーメード研修や自己啓発奨励金制度の導入など独自の取組を実施。社員一人一人が輝き、情熱を持って働ける職場づくりを進めています。

若手社員が社内の他部門で短期間働いてみる部門間研修制度。時期や期間も選択できます。

社員の自己実現を後押し

 同社が社員の自己実現支援の取組を始めたのは2013年ごろ。新たに掲げた「200年続く企業」という目標の実現に向けて全社員にアンケートを実施し、社内の問題点をあぶり出しました。社員らが筆頭に挙げたのが、残業の多さと有給休暇が取りにくい雰囲気でした。「残業だけでなく、意味もなく会社に残る“残留”が非常に多かった。有給休暇も上司の顔色をうかがうような取りにくさがあったようです。まずは社員の意識を変革し、会社の空気を変える必要性を感じました」と、総務人事部マネージャーの糟谷和子さんは振り返ります。
 職場の雰囲気を変えるために何より欠かせないのは「仕事を愛し、個々人が輝くこと」と捉え、まずは社員の自己実現の支援に取り組むことにしました。

年間5日の有休取得奨励日を設定し、会社カレンダーに組み込みました。

オーダーメード研修を実施

 対策の一つが、希望に応じて社内の他部門で1週間程度の短期間勤務をしてみる、若手社員が対象の部門間研修制度です。例えば、商品開発担当が酒の仕込みの現場を学ぶため生産本部で勤務し、その経験を商品開発に活かします。
「商品開発部門が提案しても現場がNGを出すことは多い。しかし現場の実情やノウハウを知っていると、何が駄目なのか、どうしたら開発に結び付くかといった考え方ができるようになります」と糟谷さん。
 以前から研修制度はありましたが、昇進や異動の時期に行う強制的なものでした。新たな研修は時期や期間、勤務部署を社員自身が選択します。「いわば一人一人のオーダーメード研修。手間はかかりますが、単独の部署では得られないスキルを習得でき、部門間の交流にもつながるのがメリットです。また、他部門での業務を経験することで自分自身のキャリアパスを考える機会になり、仕事への情熱が生まれます」と糟谷さんは話します。
 また、自己啓発奨励金制度を導入し、資格試験受験料や交通費を支給することにしました。その結果、食品の総合的な知識を習得する惣菜管理士やソムリエなど、業務に関連する資格取得者が7年間で2倍に。社員の成長を促す投資になりました。
 画期的な工夫は他にもあります。仕事の状況やキャリアプラン、上司に望むことなどを伝える自己申告書制度では、直属の上司に行うのが一般的なところ、同社では経営陣である役員へ提出します。希望を直接上層部に伝えることで、個々の意欲の向上とキャリアプラン実現につながりやすいといいます。

若手から管理職までを対象に、外部講師を招き働き方の研修を実施しています(写真は管理職研修)。

有給休暇の取得率が1.5倍に

 2022年には社内公募制度をスタートさせました。定期の人事異動とは別に、各部署が人材を公募し、異動したい人が応募する制度です。「個々の異動希望と職場のニーズとのマッチングで、既に1人が生産本部から情報システム課へ異動しています。このシステムをうまく稼働させていきたいと考えています」と糟谷さん。
 全社員アンケートに挙がっていた「有給休暇が取りにくい」という声にも正面から対応し、年間5日の有休取得奨励日を設定しました。その日は有給休暇を取りやすくするため、工場のラインを停止しています。また、社員自身や家族の誕生日などに有給休暇を取るアニバーサリー休暇も新設。こういった多様な促進策が功を奏し、15年の有休取得率43%が22年には63%と1.5倍に上昇しました。また月ごとの残業時間の調査・報告や在宅勤務制度の導入が、残業時間の減少に結び付いたといいます。
 男性の育児休業取得や健康管理の推進など、取り組むべき課題はまだあります。今後も社員全員が輝くための職場環境づくりを積極的に進めていきます。

昔は有給休暇が取りにくい雰囲気がありましたが、大幅に改善しました。

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