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顧客優先の慣例から脱却 部門間連携で残業削減

近畿工業株式会社

所在地 三木市別所町巴20
事業内容 リサイクル機器(破砕機、選別機等)の開発、設計、製造、販売、メンテナンス
従業員数 195人(男性170人、女性25人)
冊子掲載 令和5年度WLBな会社ガイド
公開日 2024年2月5日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

決算月の値下げ営業による受注の集中や休日工事などによる長時間残業が常態化していた同社。残業時間を減らすために、「顧客第一の受け身型」の営業スタイルから社内の生産体制を重要視した「提案型営業」への変革を進めました。その結果、残業時間が激減。生産工程の流れがスムーズになった上、売上増にもつながりました。

破砕機等の製品の顧客立ち合いでのテスト業務は、受注見込みの高い案件だけに絞ることで担当者の負担が軽減しました。

常態化した残業の軽減を目指す

 同社は、「砕く・剪(き)る・選ぶ」技術を基に、破砕機や選別機といった多種多様なリサイクル機器の開発から製造、メンテナンスまでを行うメーカーです。近年は機器単体だけでなく、さまざまな機器を組み合わせたリサイクルプラント全般の開発も手掛け、事業の拡大により売り上げが増加。しかし、その分残業時間が増え、2016年ごろには1人当たり月平均で30時間、多い社員は80時間超にも上りました。
 このため社長通達で「40時間以上の残業禁止」をルールとし、毎週水曜をノー残業デーに設定。しかし残業は減りませんでした。「仕事のやり方を変えず、ルールだけ変えてもうまくいくはずがありません。『お客さまは神さま』という考え方が根付いており、営業担当は売り上げ確保のため顧客の要望を優先した工期やサービスで営業していたのです」と管理部取締役部長の中島顕さんは振り返ります。
 働き方改革関連法により20年4月から時間外労働の上限規制が導入されるのを機に、常態化した残業を減らすには、社内に根付いた慣例や考え方の転換が必要と判断。営業スタイルを「顧客第一の受け身型」から生産体制を考慮した「提案型営業」へと大きく舵を切ることにしました。

決算月の売り上げ確保のために慣例化していた値下げをやめた結果、特定時期の負荷集中が解消できました。

土日祝の割増料金で休日出勤が減 

 同社には長時間残業の元凶となる3つの「残念な当たり前」が定着していました。「売り上げ確保のための決算月の値下げで受注が集中」「売り上げ増加による残業増加」「残業手当で生活費を確保」です。これらの負のスパイラルをなくすために策を講じました。
 まず、売上予算達成のための慣例だった決算月の値下げを2017年に廃止。例年7月に年間売り上げの4分の1が集中していましたが、廃止後は平準化が図れました。
 営業部門と生産部門の情報共有を進めたことも新たな取組です。「それまで営業担当は工場の生産状況を考えることなく営業していました。機械の製造工程には機械加工、板金、組み立てという流れがあり、余力がないのに受注すると、最終の組み立て部門にどんどんしわ寄せがいくのです」と中島さん。製造の流れを滞らせないため、数年後まで見越した営業側の案件リストと製造側の生産状況を記入する工程表を両部門が共有。互いに連携、調整することで予定が立てやすくなり、生産がスムーズになりました。
 また、休日出勤を減らすための対策を講じることに。納入した機械の修理などは、納入先が休みで機械が稼働していない日曜や祝休日にすることが多かったため、可能な限り平日に対応したいと顧客に協力を要請。同時に休日の修理については料金を割り増ししました。すると、21年度の休日出勤は前年度から約30%も削減できました。
 さらに、販促のために顧客立ち会いの下で行っているテスト業務は、受注見込みの高い案件のみ対応することに。担当者の業務負荷が軽減され、残業削減にも寄与しました。

営業側の案件リストと製造側の生産状況の情報を共有。互いに連携・調整することによって、スムーズな生産体制が構築できました。

残業代減少はベースアップで対応

 取組により、2022年の1人当たりの月平均残業時間は16年に比べて実に6割も減少しました。一方で残業が減れば社員の収入も減ります。そこで、賞与の増額や確実な定期昇給などを実施しました。
 プラントの販売などで売上高は16年の43.8億円から取組後の22年には58.7億円にアップ。加えて、スムーズな生産工程の構築や経費削減などのコストダウン効果もあり、安定した収益体制が確保できました。
 他にも短時間勤務や5日間の特別休暇の付与など独自の育児・介護休暇制度も導入。さらに21年からは土日完全週休二日制へ移行するなど、働きやすい環境づくりに注力しています。「今後は基幹システムの導入や既存業務の見直しなどで生産性をさらに向上させたい」と中島さん。顧客にとっても社員にとっても❝ハッピーカンパニー❞となるべく、まい進しています。

子どもと遊ぶ男性社員。残業削減が成功したことで社員の私生活にもゆとりが生まれました。

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