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個人に合わせて目標を設定 意欲とスキルの向上を図る
三和鋼業株式会社
所在地 | 尼崎市久々知西町2-39-2 |
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事業内容 | 建具工事業、鋼構造物工事業 |
従業員数 | 23人(男性19人、女性4人) |
冊子掲載 | 令和5年度WLBな会社ガイド |
冊子PDF | 詳細をみる |
公開日 | 2024年2月5日 |
※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。
大きいものなら高さ20mを超える大型・特殊扉を、フルオーダーメードで手がける同社。個人商店化していた創業以来の風土を払拭するため、2015年から働きやすい職場づくりを推進。一人一人に寄り添った目標を設定することで、社員の意欲向上とスキルアップを図っています。

組織化し業務の流れを再構築
飛行機や船などの格納庫に設置する大型扉が同社のメイン商材。高度成長期だった設立当初は一般的なドアも扱っていましたが、顧客の「あったらいいな」を具現化しようと革新的な製品開発を進めた結果、独自性の高いものづくりを専門とするようになりました。数々の特許を取得し、寸法誤差を10mで数mmにとどめるような高い技術力と安全性を基盤にフルオーダーで大型扉を製作しています。
創業者の卓越したリーダーシップで独自の技術力を高めてきた同社。2015年にそれまで経理部門を担ってきた長女の板垣眞輝恵さんが継承してからは、家内工業からの脱却を目指しました。それまでは創業者に全業務の権限がありましたが、「営業」「業務推進」「製造統括」の3部署をつくって業務を組織化。各分野をプロフェッショナル化して業務の流れを再構築するとともに、部署を超えて協力・相談する体制を整えました。

社長面談で信頼関係を築く
社内の組織を整えつつ、社長が率先して社員の意見や思いを聞く面談も始めました。板垣社長は「業務に対して素人だった私にもできることをしようと考えたのが面談。最初は今まで発言できなかった社員たちの希望や思いをボディブローのように浴びましたが、それらの要望に対して真摯に向き合うことで信頼関係を構築していけたと思います」と振り返ります。
面談を受けてすぐに取り組んだのが岡山工場のトイレ改修や女性用休憩室設置などの設備改修。老朽化した製造機械や重機は、数年かけて更新しました。また、就業規則を見直し、30分単位で取得できる有給休暇制度や、インフルエンザ予防接種費用の補助制度などを新たに導入しました。その結果、有給休暇を10日以上取得している社員が取組前より24ポイント増えました。
また、本社と岡山工場に距離があるため、コロナ禍を機にリモート会議を導入。情報共有やメッセージのやり取りが簡単にできるアプリも採用し、離れていてもコミュニケーションが図れるよう環境を整備しました。移動をはじめとする勤務時間の短縮につながり、月平均の残業時間が20時間以上の社員は23ポイント減少しました。

一人一人の働きがい向上へ
年1回の社長面談は方向性がだんだんと変化してきました。「職場環境が改善するにつれて社員の不満も減少し、逆にこちらの要望や気持ちを伝えられるようになりました」と板垣社長。「新しく導入する製造機械を2年で使いこなせるようになってほしい」など、一人一人の経験や希望、家庭環境などを踏まえて具体的な目標を設定しています。目標を与えられることで社員はモチベーションが向上、それぞれのステップアップにつながるという好循環が生まれています。2021年にひょうご仕事と生活センターの支援を得て実施した従業員意識調査では、「新たな技術や知識・技能を得たい」の項目は「そう思う」と「ややそう思う」の合計が85%に達しました。近年は所属部長による半年ごとの面談も加わり、より細かな目標設定を行っています。
大型扉の中でも、意匠性に特化した上下開き、中折れの「フォリオアップドア」は、国内では同社にしか製造できない特殊扉です。また、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」の大型扉など、同社の製品が一般の人々の目に触れる機会も増えてきました。そうした中で、社員が会社を誇りに思う気持ちが一層高まってきたそうです。板垣社長は「創業から培ってきた技術をベースに、今まで以上に製品開発に力を入れていこうと考えています。そのためにも、フルオーダーメードのものづくりと同じように、社員がオンリーワンの働き方を追求できるよう応援していきます」と話しています。

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