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概要

WLBVol16

調べ隊の調査研究レポートNo.6丸紅株式会社多くの従業員が直面する介護、企業としての取り組み支援とは?3月7日、「東京大学社会科学研究所ワーク・ライフ・バランス推進・研究プロジェクト」の参加企業の一社である、丸紅株式会社を取材しました。同社は、1858年創業と長い歴史を持ち、世界中で幅広く事業を展開している企業です。今回は、プロジェクトのテーマの一つでもある「仕事と介護の両立」をテーマに、このみ人事部の遠藤さんと許斐さんに同社の介護支援施策について伺いました。介護支援施策の取り組みのきっかけ従業員は約4,000人、その中で全世界に転勤の可能性がある総合職が3,000人、うち海外駐在は800人強とのことです。制度面では、育児と介護を併せて整えてきたものの、現在の介護や将来の介護への不安から、海外の人事異動に影響が出始めた経緯もあり、仕事と介護というライフイベントとの兼ね合いが課題となっていました。また、年に1度のキャリアプランの申告においても、介護への不安に人事部の許斐さん(左)と遠藤さん関する記述が増えてきました。そこで、40代以上の社員を対象に「介護ニーズ調査」を実施した結果、多くの社員が将来の介護に不安を抱えていることが明らかになり、本格的に介護支援施策の検討を始めました。介護は育児と比べてもより多様な支援が求められるため、「情報提供」と「個別支援体制」という2つの柱を軸に施策の拡充を図りました。その具体的な事例をご紹介しましょう。具体的な取り組み事例QA「介護支援ハンドブック」の作成に当たっての重点とその反応は?家族と一緒に目を通し、話し合ってほしいという思いから、ネット上での情報提供にとどめず、あえて紙媒体で作成しました。社員が興味を持ち、実際に手に取るようなものにしようと、幅広い情報を持つ専門機関にお願いし、介護のことを知るための最初の一歩として作成しました。完成したハンドブックは常時イントラネットに掲載し、希望する社員に配布しています。また、各部署でサンプルを回覧するなど、必要と感じている社員の手元に届くよう配慮しています。累計1,000部という発行部数からも、ニーズがあることは確かだったようです。会社側としても積極的に情報を発信し、介護について相談しやすい雰囲気づくりに取り組んでいます。介護支援ハンドブックQ NPO法人「海を越えるケアの手」(略称:シーケア)の利用について教えてください。A遠距離介護の支援を中心に行っている団体で、全国に有資格者(社会福祉士、看護師、ケアマネージャーなど)のネットワークを持っています。実家が遠方、あるいは海外勤務中という社員でも、同団体のサービスを利用することでプロの視点から的確なアドバイスや見守りがなされることにより、安心して仕事ができるということと、介護保険サービスにかかわらず、個人に合わせたプランニングをしていただけるというメリットが得られます。また、法人契約をすればメールや電話、対面で無料で相談にのっていただけ、そこから実際に社員がサービスを利用する場合の費用はその社員の個人負担としています。2010年度から「シーケア」を介して、東京本社と大阪支社で介護セミナーを継続開催し、「仕事と介護の両立」のためにどうすべきか、両立の心構えから介護保険の仕組み、施設などについて情報を提供しています。社員の反応も、毎回満席になるほどの盛況で、皆さん真剣に聞き入っていたそうです。誰にでも起こり得る介護、今後はまずはその予防から、健康な状態のうちにどのように取り組んでいけばよいのかということもテーマに取り上げて進めていかれるそうです。取材を終えて全世界に従業員を抱える企業として、多様なネットワークを活用し、介護支援に取り組まれていることが印象的でした。個人では収集しきれない、介護についてのさまざまな情報を得られる機会があることは、社員にとっても大変心強いことだと思います。いつか、介護をする必要が生じた時に、戸惑うことなく両立ができるよう、先を見据えた取り組み支援こそが、結果的に優秀な社員を失うこともなく、企業の発展につながるのではないかと思いました。(ひょうご仕事と生活センター研究員仲上奈緒、調査員八木由貴子)丸紅株式会社事業内容卸売業所在地東京都千代田区大手町1-4-2T E L 03-3282-2111http://www.marubeni.co.jp/7