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WLBWorkGuide2013

学生にエール!有名大企業だけに固執しない会社選びを兵庫県経営者協会会長寺崎正俊(元川崎重工業㈱代表取締役副社長)学生諸君が踏み出そうとしている産業社会は、グローバル化が進展し経済情勢の大きな波風を受けやすく、安定的に見える大企業といえども社会の進歩に乗り遅れると存続は困難になります。逆に、中小企業でも独自の技術・サービスで勝負できる企業は全世界を相手に活躍できる、これが現実となっています。一方、日本国内の労働事情は、少子高齢化が急速に進み、労働力人口が減少しており、この対応が急務となっています。新卒者を含めた多様な人材の活用、多様な働き方の導入などを行い、企業の生き残り、維持・発展を図り、経営効率化を進展させるためには、可能な範囲の少数精鋭での経営が取り組まれており、新卒者の採用はますます厳しくなると予想します。このような情勢の中での就職活動において、学生諸君に希望することは、“有名大企業だけに固執するな”ということ、逆に言えば、兵庫県内を含む地元企業の中で「働きがいのある会社(強い会社)」も多く存在しているので、これらを企業の選択肢に入れて検討してほしいということです。社会・企業が求める人材は、端的に言えば「部下にしたい。一緒に仕事をしたい」と思わせる資質を表現できる人物であると考えます。別の言い方をすると「協調性と柔軟な発想力、活発な行動力、実行力を発揮できる」人物ではないかと思います。ひょうご仕事と生活センターの発足以来、ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティの先進企業として表彰・事例紹介してきた企業には、いわゆる地道な努力で規模は小さくても強い会社が多く含まれています。企業選択の一視点として大いに活用すべきと推奨します。以上の観点について、皆さまが学生生活を通じて真剣に考え、自分なりの確固たる考え方を確立し、それに基づいた行動をすること。これを私のメッセージとして送ります。「いい会社」に就職しよう神戸大学大学院経営学研究科教授上林憲雄就とでしょう。活中の学生の皆さんは、少しでも「いい会社」に就職したいと考えているこでも、「いい会社」って、いったいどんな会社なんでしょう?儲かっていて給料の高い会社、世の中の新しいことにどんどんチャレンジしている会社、…人にとって受け取り方はさまざまだと思います。実は、「いい会社」についての世間一般の考え方は、かつてと今とで大きく変わってきています。かつては、業績を上げるために社員がバリバリ働き、いい製品・サービスを生み出して社会に役立っている企業が「いい会社」だと考えられてきました。しかし、最近では、単に業績を上げているだけではダメで、会社が働いている社員のことをちゃんと考え、気持ちよく働ける環境を整えてくれる会社が「いい会社」だと考えられるようになってきたのです。いくらヒット製品を生み出している会社でも、そこで働いている社員がハッピーでない会社は、長い目で見れば決して成功した会社とはいえないのではないか?-こうした疑問から、この冊子で紹介されている「ワーク・ライフ・バランス」と呼ばれる新しい考え方が、昨今、急速に広まってきています。ワーク・ライフ・バランスがとれる会社こそ「いい会社」なのです。皆さんも、こうした視点から自分の就活をもういちど見直してみませんか。働きがいのある仕事に挑戦を連合兵庫会長森本洋平(元三菱重工労働組合神戸造船支部執行委員長)今から7、8年前に、「ライブドア粉飾決算事件」や「村上ファンドインサイダー取引事件」が発生しました。「ホリエモン」なる言葉が生まれた事件で、多くの方が記憶されていると思います。このとき話題になったのが、「会社は誰のもの」という問いかけでした。経営責任から言えば社長のものだ、いや商法上は株主だ、といったことがメディアで取り上げられ論議を呼んでいた記憶があります。その当時から私は、「会社は従業員全員のものだ」と言い続けてきましたし、その考え方は変わりません。そして、その事業を通して社会に貢献していくことが、企業が社会の公器と呼ばれる由縁だと思うからです。会社が社長のものだとか、株主のものだとか言っていると、とんでもないことが起きてしまうことになりかねません。残念ながらライブドアや村上ファンドも、この考え方ではなかったのかと思えて仕方ありません。経営者の方々に、「どのような経営を目指されますか」と質問すると、多くの経営者の方は、「企業品質を向上させる経営に取り組みたい」とか「企業価値を高める経営を目指したい」と答えられます。このような考え方を実践する経営とはどのようなものでしょうか。兵庫県では大企業だけではなく、中小企業も対象としたワーク・ライフ・バランスの取り組み先進企業の表彰制度を実施しています。今日まで多くの中小企業が表彰されましたが、その特徴は何と言っても経営者と従業員が共に考え理解した上で、企業価値を高めることに取り組んでいるということです。従業員と共に考えながら経営を実践する取り組み。このような取り組みこそが、ワーク・ライフ・バランスの取り組みだと思うのです。従業員が働きやすい職場を経営者と共に考え実践する中小企業が兵庫県には数多くあります。特定企業だけに眼を向けるのではなく、中小企業でも働きがいがあり自らの能力が発揮できる職場を探してください。人は本来働きたいという本能を持っていると思いますし、同じ働くのなら人間らしい働きがいのある仕事にチャレンジするべきです。3日で飽きる仕事より、3日で興味が湧いてくる仕事のほうが断然面白いに決まっています。学生の皆さんに申し上げます。自分の作った殻に閉じこもるのではなく、大きな視野に立って社会を見ることです。自分の人生は誰も代わってくれません。人生の主役はあなた自身です。共にポジティブに明るい社会人生活を目指そうではありませんか。就活にも多様性を!兵庫県立大学政策科学研究所所長教授開本浩矢秋が深まると大学でもいよいよ就職活動がスタートしていきます。特に3回生にとっては、入試以来のビッグイベントとなり、多くの学生が不安に駆られるシーズンです。一方で、「7・5・3」と揶揄されるように、大学生の離職率は入社後3年程度でも30%を超える高い水準です。入試以来の難関をくぐり抜けて、内定・就職と勝ち取ったはずなのに、なぜこうしたアンハッピーな状況が生まれるのでしょうか。こうした状況をミス・マッチングと呼んでいますが、このミス・マッチングの一つの原因として、就職に当たり、その会社なり、仕事なりの真の姿を見ていなかったことが指摘できます。就職したが、こんなはずじゃなかったというところでしょうか。たとえば、皆さんが買い物をする場面を思い浮かべてください。大事なお小遣いを使うのですから、思いつきやブランドだけで、意志決定はしないと思います。いくつかの選択肢を冷静に比べ、どんな品物を買おうか決めていくと思います。就職についても考え方は同じなのです。いかに会社や仕事の情報を獲得し、自分自身の基準や価値観に適した意志決定を行うかが重要なのです。世の中には、無数の会社や仕事があります。それらすべての真の姿を知ることは不可能です。しかし、自分なりの基準や価値観を使って、無数の会社や仕事を選択していくことが、自分らしい就職活動を可能にするのです。一方、この自分らしい基準や価値観は他者からは決して与えられません。たとえ、スマホを取り出して、「google先生」に尋ねたところで、答えは得られません。だからこそ、数多くの出会い=面接や企業訪問を行い、その過程で自分らしさが見つかるのです。ワーク・ライフ・バランスもこうした自分らしい基準や価値観と深く結びついています。ワーク・ライフ・バランスには、いわゆる正解はありません。ある人は仕事を最優先にするかもしれませんし、別の人はライフを重視するかもしれません。どちらにしても、自分がもっともハッピーを感じられる価値観に気づき、その実現に適した会社や仕事を見つけることこそが、キャリア成功の近道です。またそれが真の就職活動だと思います。就活は、内定や就職がゴールではなく、そこからスタートするものなのですから。34 35