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概要

WLB19

ワーク・ライフ・バランス広域セミナーi n相生介護離職を防ぐための取り組みとは1月23日、西播磨地域の企業経営者や人事労務担当者を対象に、相生商工会議所で、ワーク・ライフ・バランス(WLB)広域セミナーin相生「突然やってくる介護に備えるセミナー~今いる人財を活かしていくために~」が開催されました。講師は当センター外部相談員で、社会保険労務士としても活躍されている田村栄子氏。日本の介護を取り巻く現実や労務管理上のポイント、両立支援制度について、自身の体験談も交えて話していただきました。●日本の介護を取り巻く現状日本は今、「超高齢社会」となり、介護労働者の増加は避けられません。10人に1人は仕事と介護を両立されており、介護や看護が理由の離職者は年々増えています。要介護者は2025年には700万人になるといわれ、まさに大介護時代に突入し、介護は誰もが突然、直面する現実と考えられます。離職したら収入はなくなり、生活保護受給者になったり、ライフスタイルの変化に不自由を感じたりすることもあり、介護離職は、介護者本人にも社会にも大きな課題です。そこで、企業が成長し続けていくためにも、できるだけ介護離職者を出さず、社会全体で両立を支援する必要があります。WLBの実現推進や介護離職を防ぐ取り組みを開始した結果、企業にとって、次のようなメリットがあると考えられます。【企業にとってのメリット】1社員の定着と意欲の向上、生産性の向上2ビジネスノウハウの蓄積3仕事の内容や進め方の見直し、効率化4 CSR(企業の社会的責任)の遂行従業員の職場環境に対する満足感と意欲が高まるため、人材が定着し、新規採用や研修にかかるコストが削減されるほか、介護を担う中心とみられる40代のベテラン社員の離職を防ぎ、ビジネスノウハウが保持できます。逆に、介護離職は「三方損」と言われており、社員にとっては精神的ストレスや肉体面・経済面に負担がかかり、企業にとっては重要ポストの人材不在やビジネスノウハウの伝承不能、社会にとっては労働者が減ることにより、経済的な損失が発生し、企業のみならず社会にとっての損失も大きく、両立支援は必要不可欠です。●労務管理上の留意点介護は、育児と違い、どちらかというと他人には言いにくい個人的な家庭の事情であるため、一人で悩みを抱え込む方も多いようです。また、将来の予想がつきにくく、社内制度を十分活用できないまま離職する人もいます。突然の介護に直面する社員を支援できるように、会社は常に体制を整えておかなければなりません。【労務管理上のポイント】1社員の介護の実態とニーズの把握2相談体制の整備3柔軟な働き方に関する制度の整備4介護に直面する前からの準備5個別事情を認め合う職場風土の醸成6柔軟な働き方に即した人事評価制度の構築問題が顕在化する前に離職する人がいるため、定期的な面談やアンケート調査等で社員の状況やニーズを把握し、相談記録を保存し、長期の介護でも継続的にフォローできる体制を構築し、個人の状況に応じて多様な勤務体制を組み合わせて使える制度や風土等、柔軟な対応が求められます。安心して働ける環境をつくるためには、経営者が強い意志を持ち、決断はトップダウンで、現場の意見はボトムアップで社内に伝えることで社内全体への意識付けを行い、実効性のある継続的な取り組みをしていくことが必要です。いつ、当事者になるか分かりません。“お互い様”という職場風土を構築し、日頃から社内全体で協力体制を持つことが重要です。また、会社から社員に発信してほしい情報の一つとして、「親が元気な間にできることをしておく」ということがあります。遠隔地の親の介護を行うケースも出てくるので、日頃から情報収集を行い、親の日常生活を知っておくことも重要です。●介護休業と介護休暇について「介護休業」とは、介護の体制を集中的に整えるために、「介護休暇」は要介護状態にある対象家族の介護やその他の世話を行うために、とそれぞれ目的が違います。誤った取得をすると、本来、取得したい時に日数が足りず、離職を選ぶケースもあります。そうならないためにも、事前に正確な情報を収集し、介護が始まったら、できるだけ早く体制を整えるために介護休業を取り、時間短縮勤務制度や時差出勤等の多様な勤務制度を活用し、仕事を続けることが大切です。超高齢社会の日本では、仕事と介護の両立は避けられない課題であるため、社会全体での取り組みが必要です。家族や親族、会社、行政機関や介護事業者、それぞれがうまく連携しながら、まずはできることから始めましょう。7