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平成22年度 「岐阜のチャレンジする企業から学ぶ100%の学びツアー」

最先端企業見学ツアー終了センター主催事業 投稿日2010.11.25

岐阜のチャレンジする企業から学ぶ100%の学びツアー

ひょうご仕事と生活センター主催の最先端企業見学ツアーが、昨年度に引き続き、企業経営者、労働組合役員など労使双方から多数の参加により行われました。今年度は「岐阜のチャレンジする企業から学ぶ100%の学びツアー」として、11月25日と26日の2日間、岐阜県にある未来工業株式会社、株式会社加藤製作所、株式会社サラダコスモの3社を訪ね、経営哲学、働き方などを学びました。

見学ツアー内容

開催日

平成22年11月25日・26日

訪問先

未来工業株式会社(岐阜県輪之内町)
株式会社加藤製作所(岐阜県中津川市)
株式会社サラダコスモ(岐阜県中津川市)

【1日目】未来工業株式会社(岐阜県輪之内町)

電機設備資材メーカーである未来工業㈱は、スイッチボックスの製造でシェア80%を誇っています。
大垣インターから車で数分、のどかな田園風景の中に本社工場がありました。同社の特徴は、成果主義やノルマもなく、残業は禁止、年間休日は140日で、育児休業は3年間取得可能、給与水準は地域トップクラスという常識破りの社員待遇を実現しながら、常に高い経常利益率を維持されていることです。

本社外観

社員食堂で昼食をとらせていただいた後、創業者である山田昭男相談役のお話を聞くことができました。山田相談役は「1日24時間のうち、睡眠時間8時間、会社で8時間仕事をすると、自分の時間はわずかしか残らない。会社の残業で自分の時間を削っては、人としての楽しみが得られない」と熱く語られました。

山田相談役

会社経営に当たっては、社員のやる気を引き出すための工夫が必要とのこと。そのため、同社ではパート社員も派遣社員もゼロで、約800人全員を正社員として雇用されています。

 

さらに、5年に1度の海外慰安旅行を全額会社負担で実施しており、来年2月にはエジプト旅行を企画されています。その際には、クフ王のピラミッドを借り切るとともに、クイズ大会を実施し、全問正解した社員には180日間の有給休暇が与えられるそうです。「社員を頑張ろうという気持ちにさせることが会社の利益につながる」と山田相談役は熱い口調で話されました。

 

一方、社内の至る所に「常に考える」という看板を設置し、社員に工夫や改善を常に求めています。どんな提案でも1件500円の報奨金が支給される改善提案制度は、年間1万件を超える提案があり、社員の創意工夫から生まれた価値ある商品は、他との差別化につながり高い利益率をもたらしているとのことでした。

 

この提案制度は商品開発に限らず、ユニークな経費節減策にもつながっています。社内の全ての蛍光灯にひもがぶら下がっており、明るくする必要のある部分だけを照らすようにされています。また、本社に設置されたコピー機は1台だけで、会議はペーパーレスとし、作業服や携帯電話も支給もされていませんでした。

経費節減策の一つ

同社を訪問して感じたのは、一人一人が経営者と同じ責任感を持って、自分で考え創意工夫を続けることの大切さ。この発想が組織を活性化させ、企業の成長を推進しているのでしょう。
社員をやる気にさせ、大切にする優しさは、常に考えることを求め、徹底した経費節減を行うという厳しさと表裏一体となって会社を発展させることを学んだ、有意義な訪問でした。

【2日目】株式会社加藤製作所(岐阜県中津川市)

家電、自動車などの部品を製造する㈱加藤製作所は、高齢者雇用を積極的に行っています。高齢者雇用に取り組んだきっかけは、顧客ニーズへの対応力と工場の稼働率を向上させるため、年間110日に上る土曜・日曜日、祝日に工場設備を稼働させ、低コスト、高品質、短納期に対応するモノづくりのコンビニエンスファクトリーを目指したことでした。

 

加藤景司社長は、専務だった2001( 平成13 )年ごろ、年中無休のコンビニ工場にしたいと考えられていたところ、働きたいけれど働けない高齢者が大勢いるという地元中津川市の調査結果を耳にしました。そこで、「意欲のある人求めます。ただし、年齢制限あり。60歳以上の方」「土曜・日曜は、わしらのウイークディ」という募集広告を新聞に折り込んだところ、100人以上の応募が殺到したそうです。その後も、定年を迎えた正社員の再雇用などを進めた結果、現在では全社員100人のうち、60歳以上が51人に達しています。

加藤社長

また、この取り組みは、企業や地域にとって一石三鳥の結果をもたらしました。1つ目は高齢者の生きがいとなる働く場をつくったこと、2つ目は地域の雇用を創出し、地域活性化に貢献したこと、3つ目は企業として若手社員育成・技術継承・経費節減を達成したことでした。あわせて、高齢者が働きやすいように職場環境の改善にも取り組みました。工場内のバリアフリー工事、ロボット等の機器導入、暖房システムや照明設備の整備、休息室の設置などを実施した結果、誰にとっても働きやすい会社づくりが進んでいます。

生き生きとした表情の社員の方

同社のように、高齢者雇用による雇用拡大と企業の利益を両立させる取り組みは、とても興味深い例として大変参考になりました。

株式会社サラダコスモ(岐阜県中津川市)

最後の訪問先である㈱サラダコスモは、中津川インターの近くで教育型観光生産施設「ちこり村」を運営しています。もやし、かいわれ大根、ちこりなどを生産するとともに、ちこりの根を使用したちこり焼酎の製造などを行っています。

ちこり村焼酎蔵

また、欧州原産のちこりの生産などを通じて、食料自給率の向上、休耕地の有効活用、高齢者の雇用、地域の活性化をはじめとするさまざまな社会貢献活動と企業経営を両立されています。

 

中田智洋社長にお話を伺うと、「会社経営で一番大事なことは会社の理念であり、後ろめたさのない商品を作り、お客さまや社員から認められる企業でありたい」という強い信念をお持ちでした。中田社長の経営哲学には、大学時代に学んだ仏教思想も影響しているそうで、「困ったときや壁に当たったときも、人のためになる、社会のためになることをやれば道は開けると確信している。これが経営の極意だと思っている」とのこと。その言葉が示すとおり、食料自給率の向上にもつながる無添加・無農薬の安全安心な野菜を作り、高齢者を積極的に雇用して地域の高齢者に生きがい、働きがいを提供しながら、企業としての利益も実現するという理想の企業経営を実践されていることに驚くとともに、中田社長の真剣なまなざしがとても印象的でした。

中田社長

【ツアーに参加したセンタースタッフのコメント】

岐阜県の先進企業3社を訪問した今回のセミナー。各社のトップに立つ方のリーダーシップと責任感の強さにあらためて驚かされるとともに、社員や地域を大切にすることが会社の発展につながることを再認識させられた2日間の研修となりました。