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平成25年度 仕事と生活の調和フェスタ WLBで社員も顧客も満足!

フェスタセンター主催事業 投稿日2013.11.19

開催要項

開催日・場所

平成25年11月19日・兵庫県公館大会議室

事例報告

テーマ ワーク・ライフ・バランスで社員も顧客も満足
講演者

ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEO 出口治明氏

パネルトーク

コーディネーター

兵庫県立大学政策科学研究所所長・教授 開本浩矢氏
パネリスト ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEO 出口治明氏
神戸大学大学院経営学研究科教授 上林憲雄氏

 

事例報告 「ワーク・ライフ・バランスで社員も顧客も満足!」

 

ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEO 出口治明氏

当社はまだ開業して5年の小さな会社ですが、ライフ・ワーク・バランスに取り組んでいます。
通常はワーク・ライフ・バランスですが、考えがあってライフとワークを逆にして呼んでいます。1年8,760時間のうち人間が働いている時間は2,000時間ほど。1年のうち約7割以上の時間は、ご飯を食べて、寝て、遊んで、子どもを育てることに費やしているのです。となれば、どう考えてもライフを先にするのが正しいといえます。

 

極論すれば仕事はどうでもいいのです。仕事が人生の全てだと思い込んでいる人は、会社で失敗したら自分の人生は終わりだと錯覚します。一番大切なのは家族、子ども、友人だと考えれば仕事を思い切ってできます。会社では信じることを堂々とやればいいのです。
もちろん、3割の仕事も大事です。どんなに素晴らしい職場で仕事をしていても100%満足している人はいません。働く意味を考えるには、世界を理解することからスタートしないといけません。

 

そのための方法が2つあります。会社であれば創業からの歴史の時間軸、競合や理想とする会社と比べる空間軸の縦横軸で見ること。そうすれば自分のポジションが分かります。もう一つは国語ではなく算数で理解すること、つまり不毛な精神論ではなく科学的根拠に基づいた仕事のやり方をすること。例えば残業は当たり前という考え方は根拠のない精神論です。長時間労働で生産性が上がったという研究結果は見たことがありません。

 

今、日本はビジネスの力で世界では24番目だといいます。これをどう上げればよいのか。簡単です。先週5時間かけてやっていた仕事を今週は4時間で済ませればいいのです。これまでと違うことを考えることがいい仕事をする条件です。

 

そのためには勉強をするしかありません。人に会い、本を読み、いろんな経験を積んで情報を入れなければアイデアは出てきません。ただ悲しいことに人間は怠け者で、本を読もうと思っていても誘われればお酒を飲んでしまいます。

 

そこで大事なのがダイバーシティです。日本企業のボードメンバーを見渡すと、同じ会社で30年働いてきた男性ばかり。これではアイデアは出ません。グローバルな企業は、社外取締役を入れて、違う背景を持った人材をそろえています。だからいろいろなアイデアが出てきます。
当社には定年がありません。昨年も60歳以上の方を2人正社員として採用しました。高齢化社会では当然の話で、元気な人は働き、本当に困っている人に給付すべき。それが社会の役目です。

 

会社の方針は「元気に、楽しく、明るく」。残業を少なくし、たっぷり寝て、遊んで、元気に会社に来て初めていい仕事ができます。社員が元気で明るく働いてこそ、ステークホルダーは喜びます。この原理はどの時代も不変です。

パネルトーク

開本

出口氏から、女性、男性という視点だけでなく、高齢者、若者、外国人も含め、多様な特性を持った人が力を発揮できる環境が生産性、付加価値の向上には大事だという話をいただきました。上林先生はどのような感想を持ちましたか。
上林

何を置いても従業員満足が一番大事でそれが顧客満足につながるということは、どの優良企業にも共通する考え方です。中でも労働時間短縮はワーク・ライフ・バランスのベースにあるべき重要な課題ですが、単に労働時間を短くすることではなく、仕事の効率、やりがいと結び付けて議論されるべきものだとあらためて感じました。出口氏は、サラリーマン時代にワーク・ライフ・バランスをどう実践されていたのでしょうか。

出口

私は65歳を超えた今、これまでで一番働いています。サラリーマン時代は時間があれば本と旅に費やし、夏と冬には2週間ずつ休んで遊んでいました。

左から開本氏、出口氏、上林氏

開本

フロアからの質問を受け付けます。

●社員の方の生活の質はどうですか?

出口

社員総数は100人に満たないのですが、トライアスロンをはじめ運動クラブが13、文化クラブが42あります。活動が一番盛んなのは子育て部。昼休みに、ご飯を食べながらおもちゃや衣料を交換しています。新卒採用については、勉強すべき大学在学中に学生を会社に呼び付けるのは税金泥棒だと思っています。卒業後の成績をもっと判断すべきという考えから、30歳未満を新卒採用の対象としています。採用試験は、まずテーマに沿って字数無制限の論文を書いてもらいます。成長の秘訣は考える力だからです。今年入った新入社員は高校を退学し、社会人生活を経て大学に入り、ボクシング部で活躍。卒業前にはラオスの村でボランティアをしていました。入社直後の5月には創業5周年セミナーの司会をしてもらいました。

経営者はワーク・ライフ・バランスの必要性を理解していても実行に移すケースが少ないです。なぜですか?

出口

経営幹部が行動に移せないのは、本気で考えていないからです。人間は納得すれば必ず行動する動物。自分のこととして向き合う姿勢があるかどうかが全てです。そうした経営幹部を変えるには、社員皆が同じ意識を持って仲間をつくるほかに方法はありません。そして、経営者は本気で向き合って腑に落ちるまで考える癖をつけることです。
開本

その時に重要な役割を果たすのが、ひょうご仕事と生活センターでも養成講座を設けて育てているキーパーソンではないでしょうか。
出口

知識は力、知らなければ力にはなりません。キーパーソンの方は学ばれたわけですから、会社を変える原動力になると思います。