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白鶴酒造株式会社-日本酒業界への女性進出 誰もが活躍できる職場に

白鶴酒造株式会社

所在地 神戸市東灘区住吉南町4-5-5
事業内容 清酒、その他酒類の製造、販売および媒介など
従業員数 433人
冊子掲載 情報誌 vol.27 2016年春
公開日 2016年3月22日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

江戸時代中期、日本一の酒どころ灘五郷で創業し、全国に400人以上の社員を抱える酒造メーカー、白鶴酒造株式会社。女性の活躍の場を広げるとともに、社員の声をくみ取って育児支援の新制度を設けたり、誰もが効率よく働けるように勤務形態を変えたりと、時代に合わせた職場改革に取り組んでいます。

管理本部長の中西典哉さん(左)と総務人事部の大利清隆さん。

徐々に広がる女性の職域

一般的に、蔵元や杜氏を中心として男性社会のイメージが強い日本酒業界。同社でも、約30年前までは営業部や醸造部への女性の採用は行われていませんでした。しかし、1985年に男女雇用機会均等法が制定されて以降、女性の職域や働き方が変化してきたことから、部署を限定せず男女を平等に採用するようになりました。

「最初から男性社員と同じというわけにはいかず、特に営業部では担当の振り分けにも配慮が必要でした」と管理本部長の中西典哉さん。飲食店の新規開拓や小売店へのセールスは男性との意識が強く、女性が受け入れられにくいといった問題がありました。そこで、需要が伸びてきたコンビニや量販店の担当にすることで、活躍の場を増やしていきました。そのうちに女性ならではの細やかな気配りが売り場で生かされるようになり、「店頭の表示に価格だけでなく商品の特長を入れるなど、当時としては斬新な提案がいくつも生まれました」と総務人事部の大利清隆さんは話します。

体力面が心配された醸造部では、重機等を扱うときは男性社員がフォローし、体力がついてきたら徐々に負担を増やすなど、部署内で助け合うことにより少しずつスムーズに業務が回るようになっていったといいます。

小売店を回る営業部の女性社員。

結婚や出産で辞めない環境に

現在は社員の約3割が女性。そのうち管理職は5人で、課長代理クラスも増えてきています。仕事のやりがいと正比例するように長く働きたいという女性社員が右肩上がりになり、それを支える制度面の整備も進められてきました。

育児に関しては、「小学校は登校時間が出社より遅いため子どもに戸締りを任せるのが心配。低学年のうちは子どもを見送る時間が欲しい」という社員の声に応え、法定の3歳までに加えて小学1、2年生の時にも短時間勤務ができるように。希望に応じて転勤にならないようにも配慮しています。また、子育てや転勤などを理由にやむを得ず退職しても、5年以内でかつ希望の部署に空きがあれば復帰できる制度を設けています。

「今後、男性社員も介護などで転勤を希望する人や断る人が出てくると考えられます。一人一人の状況に合わせて、働きやすい方法を提案できるようにしていきたい」と中西さんは語ります。

2交代制と人事交流で効率アップ

働き方の改革は、女性社員に対してだけではありません。現場では、残業を減らし、生産性を高めるため、2012年の工場移転に伴い2交代勤務制度を導入し、最新設備を入れました。「朝が早い、夜が遅いと最初は不満も出ましたが、2交代にすることで残業時間が格段に減りました。病院や役所に行くなど、プライベートの時間をうまく使ってもらえれば」と中西さんは笑顔を見せます。子育て中の女性社員に対しては、8時30分から17時10分までの定時勤務への変更を可能としています。

加えて、少人数で効率よくラインを回し、突発的なトラブルや急な欠勤をカバーするため、ジョブローテーションを実施し、さまざま業務ができる人材を育てています。これは個人のキャリアアップも目的としており、生産部で酒造りをしていた社員が営業部に異動した例も。配属先は東京や大阪、米国など広域にわたり、男女共に酒造りや販売において多彩な経験を積み知識を増やします。

3月に、長年にわたるこれらの取り組みが評価され、「ひょうご仕事と生活の調和推進企業」に認定されました。さらに、本社に併設する醸造工場に女性の着替え室や風呂場、仮眠室が完備され、10月からは男性社員のみだった宿直勤務もできるように。男女間の職務の差はさらに少なくなりました。

「昔のように男性社会というイメージはありません。さまざまなライフイベントがあっても女性も働き続けることが当たり前という考え方が浸透してきていて、子育て中の社員へのサポートなど、意識が高まっているように感じます」と中西さん。同社では引き続き、現場の声や時代のニーズに合わせて、誰もが気持ちよく働ける職場づくりに取り組んでいきます。

「宿直は始まったばかりでまだ慣れません。これからですね」と話す醸造部の佐山春日さん。
女性社員も宿直を始めた醸造部では、作業の合い間にも官能検査で味や香りを確認しています。

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