• 文字
  • 中
  • 大

HOME > 事例紹介 > 市立加西病院

表彰事例紹介一覧へ戻る

市立加西病院 実態を踏まえた課題解決で満足度が向上

市立加西病院

所在地 加西市北条町横尾1-13
事業内容 医療、福祉
従業員数 470人( 男性130人、女性340人)
冊子掲載 平成27年度 WLBな会社ガイド-兵庫版
公開日 2016年2月25日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

「急性期病院だから残業は仕方ない」。市立加西病院では、こうした看護師の考えを改めるため、2012年から看護部内にワーキンググループを作り、さまざまな施策に取り組んできました。3年を経て看護師の満足度は向上しつつあり、今後は病院全体に取り組みを広げていこうとしています。

WLB推進の取り組みで、スタッフがいきいきと働ける環境が整備されてきました。

取り組みポイント

★院内保育(昼間・夜間)の実施
★多様な勤務形態(2交代制、夜勤専従看護師の導入)の実現
★課題の明確化等により残業削減と年休取得を促進

ビジョンと数値目標を掲げる

同院では、看護師が日本看護協会のワークショップに参加して学んだ内容を基に、2012年にワーク・ライフ・バランス推進ワーキンググループ(WG)が発足しました。その理由について「急性期病院での勤務という仕事柄、どうしても定時で勤務が終了しないことが多く、看護師に疲労の色が見えました。また、近隣に大型病院の開設が相次ぎ、今後看護師を採用しにくくなるのではないかという思いもあって、対策に取り組むことが大事だと考えました」と看護部長の藤原早百合さんは説明します。

WG設置と同時に実態調査をしたところ、「現在の働き方に満足していない」と答えた看護師の割合が約6割に達しました。また、「就学前の子どもがいる」「要介護の家族がいる」と回答した看護師がそれぞれ約2割おり、両方への支援が必要であることも明らかになりました。そこで、「職員がやりがいをもち、いきいきと働き続けられる職場」をビジョンに掲げ、満足度の向上(「現在の働き方に満足している」の回答を40.3%から60%に)、職員のニーズに応じた多様な勤務形態を可能な限り取り入れるなどをゴールに、3カ年計画で取り組むことにしました。

2交代制導入や夜間保育の充実も

WGには看護部長、副部長のほか、看護部各部署から1人ずつが参加。研修を受けた上で、新たな勤務形態について検討し、実施に移していきました。また、研修をする中で「残業は当たり前」という職員の意識も変わっていきました。制度としては、夜勤専従看護師をパートで採用して夜勤の負担を減らす一方で、従来の3交代制に加え2交代制を一部の病棟で試験的に導入しました。「3交代では寝る間がない、遠い所から何回も出勤しないといけない、危ない夜中の時間帯に帰らないといけない、子どもとなかなか会えないといった問題点の解消にもつながっています」と藤原さん。また、院内保育園の充実を図り、13年には夜間保育を週2日に増やし、病児保育も開始しました。

院内保育園「みつばち保育園」。夜間保育を週2日に増やし、病児保育も開始しました。

時間外勤務削減の取り組みについては、業務中に参加しなければならなかった院内委員会の統合を図るとともに、委員会メンバーを33人減らすことで負担を軽減しました。また、業務を看護師でなければできないものと看護助手に任せられるものに分類し、業務の一部を助手に委任しました。「逆に看護助手の負担が増えたという声もあるので、見直しを図っていきたい」と話しています。これらの取り組みは「WLB推進だより」で周知を図るとともに、部署ごとに成果を共有しています。

WLB周知のために「WLB推進だより」を定期的に発行。業務改善の取り組みも掲載しています。

患者の視点から検証も

取り組み3年目となった14年度に調査を行ったところ、12年度と比べて25項目中21項目で改善が見られました。特に上司に関する項目が顕著に伸びており、「上司はあなたの考え方をよく理解している」は前回の55.2%から70.6%に上がりました。「上司の立場の人が根気強く取り組みを率先してくれた結果。職場でのコミュニケーションもしっかり取れるようになりつつあります」と副部長の東郷恵理子さんは分析しています。

成果は数値にも表れています。1人当たりの1日の平均時間外勤務は11年度の8.0時間から13年度は5.1時間に減少し、有休取得率も11年度の48.5%から13年度は69.8%へと改善しています。

看護師からは、以前は「帰れなくて当たり前」「忙しいのはしょうがない」といった声が多く聞かれましたが、「現状を明らかにし、課題を明確にし、目標に向かい各部署で主体的に取り組んだことで、習慣的な仕事の見直しや既成概念の見直しができる風土に変化してきた」などの声が上がっています。

東郷さんは、「この3年は看護部内に目を向けて取り組んできましたが、それが患者さんの視点から見てどうなのかを検証したい。結果的に患者さんへの対応が向上することで、病院の経営向上にもつながります。今後は病院全体にワーク・ライフ・バランスの取り組みを広げていきたい」と話しています。

職場のコミュニケーションの向上や職員のスキルアップのための研修会も盛んです。

事例を検索する

下記の項目をチェックして「検索する」ボタンをクリックしてください。