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株式会社TAT 「家族経営のような会社」を目指し 社員いきいき離職率は2%

株式会社TAT

所在地 西宮市日野町4-50
事業内容 卸売業
従業員数 224人
冊子掲載 平成26年度 WLBな会社ガイド-兵庫版
公開日 2015年3月11日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

ネイル製品の卸で全国有数の取り扱い数を誇るTAT。「社員が楽しく働くことができなければ、お客さまを幸せにはできない」と考え、"家族経営"を第一に掲げてきました。社長、副社長が率先してその雰囲気づくりに努める一方で、さまざまな取り組みについてはまず社員自らが考え、実践することでより高い効果を出し、離職率は2%にとどまっています。

副社長(右から2人目)を囲みコーヒータイム。"家族経営"を目指します。

社長自ら食堂の厨房に立つ

かつて毎週月曜日、高野直樹社長はエプロン姿で社員食堂の厨房に立っていました。腕を振るって料理を作り、社員に昼食を提供するためで、 名付けて「しあわせ食堂」。今も買い出しや前日の仕込みは続けているそうです。一方、高野芳樹副社長はほぼ毎日、業務中に自らコーヒーをたてて社員に振る舞っています。こちらは「メリータイム」という名前です。「おいしいコーヒーを囲めば、皆で話が弾みます。面談を通じて社員とじっくり話をする機会ももちろん大事ですが、ほっとできる空間で自然な会話の中から生まれるコミュニケーションを大切にしたい」。そのような場を経営幹部が率先してつくっているところがTATと言えます。

高野社長はもともと大手スーパーに勤務していましたが、米国の新興航空会社の経営者が書いた本に影響を受け起業を決断しました。「顧客は二の次、と書かれていたのです。まずは社員が楽しめる会社にすること。そうすればおのずとお客さんにも喜んでいただけると」。1998年の創業時から「家族経営のような会社」を目指してきました。

高野副社長もそのような社風の中で自らを成長させることができたと言います。「大学を中退し、音楽や絵画に夢中になり、定職に就かずふらふらしていましたが、父の起業をきっかけにアルバイトで働かせてもらうようになりました。サラリーマンになるのは格好悪いと思っていたのですが、仕事を覚え、ネイリストさんのお役に立てることがうれしくなり、楽しくなり、働くってこんなに楽しいんだ!と気付きました」。ある時、経営者の会合を通じて経営指針書作りを学び、その思いは一気に膨らむことになりました。

社員参加型の経営指針書

10年近く毎年、社員と一緒になって作っている経営指針書は1年ごとにページ数が増えていき、現在では250ページに及びます。会社から示された重要方針に基づき、社員参加型で計画を考えることで、ボトムアップ型の組織が育っています。「作るプロセスで社員の主体性を育む。毎年のように理念に立ち返る作業でもあります」社員がいきいきと働けるよう、制度や仕組みについても「そのままでいいのか」と常に見直しを欠かしません。定時退社を促進する取り組みは、当初会社がノー残業デーの日を決め、退社を促すやり方でした。ところがなかなか成果につながりません。

そこで、2013年からは各部門で自由にやり方を考えて実践してもらう仕組みに改めました。すると、終礼を昼の時間に済ませたり、毎日のスケジュールを朝礼で発表して見える化を図ったり、絶対やらなければいけない仕事、来客を優先するように仕事を改めたりと、部門ごとにさまざまなアイデアが実践に移されました。「課長会議でうまくいった部署のやり方をシェアし、まねると、残業が1年で6割減りました」

また、経理部門は仕事の繁閑の差が大きく、どうしても仕事が月末や月初に集中し残業が避けられない状況にありました。そこで社員の発案により、生じた残業時間分を、比較的仕事が少なくなる月半ばなどに振り替えて早く帰る日をつくり、1カ月トータルで見て総労働時間が一定になるように調整。「精神的ストレスもなくなって職場が明るくなったようです」と高野副社長は話します。

「しあわせ食堂」で、社長(右)が社員に手製の昼食を提供したことも。

「まだ面白い会社にできる」

同社が毎月発行する社内報。2014年10月号の特集は「部活」です。卓球、 バスケットボール、バレーボール、テニス、軽音楽などの部活動も盛んで、部活のために自発的に時間を管理する意識も育まれています。トップが率先して取り組む社内雰囲気づくりと、ボトムアップ型の制度や仕組みづくりが相まって、離職率は2%以下にとどまっており、採用に当たっても社員が親戚や友人を紹介するケースが多いのも同社の特徴です。「まだまだもっと面白い会社にできる」と家族経営のさらなる高みを目指す高野社長。高野副社長も「いきいきと働く社員と共に、ファッションだけではない人の役に立つネイルの新しい価値を追求し続けていきたい」と力強く語っています。

各部門で"見える化"を実践した結果、残業が1年で6割減りました。
経営指針書は社員と一緒に作成。社員に主体性が醸成されます。

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