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やりがいを重視して働く環境整備 「患者の満足度」向上へ一丸

医療法人財団樹徳会 上ヶ原病院

所在地 西宮市上ケ原十番町1-85
事業内容 医療業
従業員数 208人
冊子掲載 平成25年度 第5回ひょうご仕事と生活のバランス 企業表彰事例集
公開日 2013年11月19日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

地域の医療拠点として住民の信頼を集める上ヶ原病院は、労働条件をよくするだけでなく、看護師らの「やりがい」を重視した職場改善に力を入れています。働きやすさと働きがいを結び付けたのが特徴で、その先に見据えるのは「患者の満足度」向上。研修支援の充実などによる人材育成は、着実に医療と看護の質を引き上げているようです。

2011年に全看護職員に実施したアンケートでは、それまで意識していなかった課題が浮き彫りになりました。

全員調査で課題を掘り起こし

西宮市の緑豊かな高台に位置する同病院は、創立85年の歴史ある医療機関です。「心の通った温かい医療」の実現を掲げ、大江与喜子院長を先頭に看護職員約70人を含めた200人超の全職員が結束しています。待遇面ではもともと、同規模の民間病院と比べて充実。看護師の離職率も平均以下でした。

それでも2011年、全看護職員を対象に待遇調査のアンケートを行いました。兵庫県看護師協会の呼び掛けがあったからでした。

「職場環境に満足している人は思った以上に多く、上司への信頼も厚い」

結果を見た看護部長の島末喜美子さんは、ほっと胸をなでおろしました。ただ、育児休業や時短制度などの詳しい労働条件をよく知らないという回答が多いことが気になりました。また、将来への漠然とした不安を訴える声も目立ちました。「自分たちの環境をしっかり認識してもらい、見えない課題を掘り起こそう」。島末さんは、病院組織を挙げた改革を決意しました。

プロジェクトチームが先頭に

看護師だけでなく事務職員も含めた11人でワーク・ライフ・バランス(WLB)のプロジェクトチームを結成。アクションプランを決め、すぐに活動を始めました。

あらためて意識調査を実施。今度は全看護職員への面接をしました。ここでは、戦力の中心である子育て世代も残業の少なさや有給休暇の取りやすさなどで満足していることが明らかになりました。一方、高齢者看護、緩和ケア、がん化学療法など高度な分野で知識を深めたいという要望が多く出されました。

就業規則の周知活動も行いました。職場ごとに閲覧しやすい場所に配置してもらうと、産休や育休がきっちりと保障されていることが分かった若い職員らに安心感が広がりました。

大江院長を筆頭に各職場の責任者が参加する運営会議や経営会議でも取り組みを報告して、管理職を含めた全職員の周知で、職場改善の必要性を全体に浸透させていきました。

病院の公式ホームページでも、WLBの取り組みについての特集コーナーを設けました。これを見て、「働きやすそうな職場だな」と看護師の新規採用に応募があるなど内外から反響がありました。

病院の公式ホームページにはワーク・ライフ・バランスの特集コーナーがあります。

「やりがい」ある職場を求めて

WLBの活動を通し、看護師を中心にキャリアアップへの要望が強いことが浮き彫りになりました。研修制度はすでにありましたが、これを受けて、内容をさらに充実させました。

看護師のキャリアアップの要望に応えて研修制度を拡充しました。

認定看護師の研修派遣への参加者を積極的に募集したほか、管理職養成につながる認定看護管理者の研修派遣も実施。いずれも有給休暇や時短勤務が必要ですが、病院の責任で職場のやりくりや補助を保障しました。

ベテラン看護師で、現在、認定看護管理者を目指し定期的に有給で長期研修に参加した神崎綾子さんは「支援があるから安心して勉強できます。病院が人を育てようという姿勢を実感できることが働きがいに結び付いています」と話します。

また、専門的な看護の講習も定期的に開催するようになりました。院長自ら講師になることもあります。スキルアップは看護師や職員の自信を高めることに結び付きます。患者へのアンケートでも、職員らの対応への満足度は着実に上昇しています。

同病院では、職員の人事考課や教育制度の見直しも進めています。島末さんは「良い医療・看護を実現するためには、人材が最も大切。良い人材を育てるためにも働く環境を一層充実させたいです」と話しています。

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