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職場風土の改革で働きやすく 女性や若者の活躍で業績向上

阿比野建設株式会社

所在地 姫路市広畑区正門通4-3-3
事業内容 総合建設業
従業員数 211人
冊子掲載 平成25年度 第5回ひょうご仕事と生活のバランス 企業表彰事例集
公開日 2013年11月19日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

地元にある大工場の設備建設からスタートした阿比野建設はかつて、男性ばかりで上意下達が当然という職場風土でした。しかしワーク・ライフ・バランス(WLB)を推進する中で変革に成功。女性が働きやすい環境づくりを進めるうち、男性従業員の多くも仕事に前向きになって離職率が大幅に低下しました。女性や若者らの活躍で業績も拡大しています。

初めて育児休業を取得した倉本由美子さん(中央)。女性は結婚すれば辞めるという慣例はなくなりました。

話し合いゼロからの出発

阿比野建設の総務部で現在は嘱託社員として働く岩崎寛一さんは、地元に工場を構える大手企業から17年前に転籍しました。当時を振り返り「後輩は先輩の仕事を見て覚えるだけで、社員教育と言えるものはありませんでした。現場の仕事は全てトップダウンで、忙しいため社員同士の話し合いはゼロ。昔ながらの職人かたぎの職場でした」と話します。

休みについても、「仕事を任せる相手がいない」「他の人が忙しいから遠慮する」と、結局誰もあまり取りませんでした。みんなの会話は不満の言い合いばかり。若手は次々と辞めていきました。

こうした状況を変えようと、総務を担当した岩崎さんは、阿比野剛社長らと話し合い、社員の意識改革に着手しました。具体的には、社外研修への積極的な参加です。自己実現や魅力ある会社づくりなどをテーマに、全課程が9カ月もかかる研修でしたが、仕事をやりくりし、7年かけて幹部社員ら延べ100人が参加しました。岩崎さんは「変えるべきは変えるという意欲が全体に広がりました」と話します。学ぶ姿勢の大切さが社内に浸透していきました。

仕事と家庭の両立を目標に

次に変革のきっかけになったのは、品質マネジメント基準のISO9001(品質)、ISO14001(環境)の取得です。そのためには、経験に頼る仕事のやり方を見直す必要がありました。作業全体をマニュアル化し、できるものは数値化して効率性や確実性を検証できるようにしなければなりません。

社員同士の話し合いを繰り返して仕事のやり方を変えていきました。外部審査を受ける必要もありましたが、そのことで外の意見を聞くことになじんでいったのです。少しずつ旧態依然の職場風土が変わりました。

社員の意識改革のため、社内、社外研修を推奨しています。

さらに、次世代育成支援対策推進法の施行をきっかけに、財団法人21世紀職業財団の指導を受けることに。企業規模は規定より小さくても、中堅なみに半日休暇やリフレッシュ休暇を導入。社員への啓発にも力を入れました。その結果、有給休暇の取得率を50%超に引き上げることに成功しました。中小の建設業では異例の高さです。

さらに、「仕事に男女の違いは関係ない」という阿比野社長の号令の下、育児休業取得を推進しました。2005年に同社で初めて育児休業を取得し、現在は健康事業部課長の倉本由美子さんは「マンションや関連商品の販売など、女性の視点が必要な仕事は少なくありません。後輩たちの働きぶりを見ても、女性は会社にとって大切な戦力だと自信を持って言えます」と力を込めます。女性は結婚すれば辞めるという慣例はなくなりました。男性社員も10日間程度の育児休業を取るなど、職場環境は大きく変化。次世代育成支援対策推進法に基づく「子育てサポート企業」として、国から「くるみんマーク」の認定も受けています。

定期的に発刊される社内報「アビノ レポート」。育児休業者の情報も。
男性社員も育児休業を取得しています。休みやすい環境が整っています。

働き続けたい会社へ

働き方が変わったことで、従業員の仕事への姿勢が大きく変わりました。建設業が不況の中でも同社は堅実に業績を拡大。過去15年間で従業員数は160人から220人まで増えました。一方、離職者数は年11人から年6人に激減。WLBの取り組みが、同社発展の基礎になったことは間違いありません。若い女性の現場監督が活躍するなど、若手の頑張りは目を見張るほどといいます。顧客からも「阿比野は、若手の元気がいい」と評価されています。岩崎さんは「働き続けたい会社であれば、従業員は自然と頑張ります。これからも人材が育つ職場づくりを前進させたいです」とさらなる改革を目指します。

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