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柔軟な勤務ダイヤで働きやすい環境に 将来の不安を払しょく

医療法人社団つかさ会 尾原病院

所在地 神戸市須磨区妙法寺字荒打308-1
事業内容 病院
従業員数 198人(男性50人、女性148人)
冊子掲載 平成24年度 第4回ひょうご仕事と生活のバランス 企業表彰事例集
公開日 2012年11月21日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

「あの人は辞めちゃったの。頼りにしていたのに…」。数年前、ある患者が漏らした一言が、尾原病院の副院長・看護部長の牧野千賀子さんの胸に突き刺さりました。全国的に看護師不足が深刻化する中で、同病院も離職率が高止まり。患者にも不安が伝わっていたのです。解決の一歩は、勤務ダイヤを柔軟にしたこと。子どもを抱えた女性でも働きやすい環境を整えたことで職場の雰囲気も変わりました。

「働きやすい職場」に向けて、残業を減らすポスター掲示など啓発も積極的に行われています。

看護師不足に悩まされる

同病院は1982(昭和57)年、神戸市須磨区妙法寺の閑静な住宅街の一角に開設されました。消化器外科、内科を軸に人工透析も行い、看護師は約50人。一般病床と療養病床を合わせて98床を抱え、地元に根差した地域病院です。

外来、病床とも常に混雑し、住民にとってなくてはならない存在ですが、他の多くの民間病院と同じく、看護師不足に悩まされてきました。出産や公立病院への転職などで毎年数人が辞めます。補充のために求人をしてもなかなか集まりません。

患者は地域住民が中心だけに、スタッフが入れ替わるとすぐに気付かれます。

「あの看護師さんは?」

看護師を束ねる牧野さんにとって、患者の不安そうな表情を見るのはつらいことでした。焦りを募らせる牧野さんは約3年前、「わらをもつかむ思い」で、日本看護協会が呼び掛けるワーク・ライフ・バランスのセミナーに参加しました。働きやすい職場づくりが、解決につながればと考えたのです。

アンケートで課題浮き彫り

セミナーで多くのことを学びましたが、牧野さんは当初、あまり実感がわかなかったそうです。というのも、尾原病院の労働条件が他の病院より劣っているわけではないからです。

そんな意識を一変させたのが、セミナーのほぼ最終過程で行った、看護師らの意識調査でした。

結果を見ると、労働条件や職場の満足度は高く出ました。ところが、半分が長く働き続けることに不安を抱いているほか、健康に自信がないという答えも4割を占めていました。将来と健康への不安が広がっていたのです。

すぐに看護師長らと対策の検討を始めました。すると「子どもがいる人は今の勤務ダイヤでは働きにくい」「勤務時間が終わっても帰れない場合が多い」「リーダーへの負担が大きい」と次々に課題が浮かび上がりました。

アンケート結果を分析することで、それまで「病院の仕事はこういうもの」という思い込みに陥っていたことに気付かされました。

働き方を見直し職場に笑顔

さっそく取り掛かったのが勤務ダイヤの見直しです。それまで1日2交代制で勤務時間帯は2種類しかありませんでした。それを、早出、遅出など細かく分け、9種類まで増やしました。時短勤務もつくり、子どもがいる看護師は保育所などへの送り迎えの時間帯を気にする必要がなくなりました。

勤務時間帯の種類を大幅に増やし多様化させました。

さらに、残業は事前届け出制としました。これで、定時終了の意識も定着。残業届けが多い場合は原因を調べます。リーダーでも、残業が多いと指導を受けるため、自然と負担は軽減されました。

時間外勤務を事前の届け出制にすることで、不必要な残業が減少。

「自宅近くに、こんなに働きやすい病院があって本当によかった」と話すのは、小学2年生と1歳の子どもを抱える看護師の松林絵里さん。他の病院を辞めた後、「働きやすい」という評判を聞いて尾原病院に移りました。

今は療養病棟を担当しており、「明るく元気な看護師さん」として、多くの患者から慕われています。松林さんは「時間が合わず、病院勤めができない看護師は多いんです。私は家庭と仕事の両立ができて幸せ。自然と元気が出ます」とほほ笑みます。

来春には、育休明けの2人が職場復帰する予定。牧野さんは「看護師不足の解消まであと一歩。今後は、仕事内容の見直しにも踏み込み、『長く働き続けたい』と思える環境をつくりたいですね」と話しています。

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