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部門間のコミュニケーションを充実 会社の強み発掘で従業員に誇り

ニデック大豊機工株式会社(旧:大豊機工株式会社)

所在地 豊岡市中陰470
事業内容 製造業(金属加工機械の製造)
従業員数 148人(男性119人、女性29人)
冊子掲載 平成23年度 第3回ひょうご仕事と生活のバランス 企業表彰事例集
公開日 2011年11月16日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

水道メーターや工作機械を手掛ける大豊機工株式会社は、1965(昭和40)年創業。水道検針・料金システム開発などで業績を伸ばしてきました。「田舎の小さな会社だと思っていたが、実はすごい強みがある」と、従業員が自分たちの働く職場に誇りを持ち始めたのは、会社が大きなピンチを迎えた3年前のことでした。

ワーク・ライフ・バランスのプログラムを導入し、 職場に活気がよみがえりました。

ピンチをチャンスに切り替えて

世界的な不況をもたらしたリーマン・ショック。同社も、その影響から免れることはできず、工作機械の工場稼働率が急激に下がりました。売り上げは、当初の2割にまで落ち込み、一時期、工作機械部門は休業。従業員は、他の部門に補助に回ったりしたものの、週に2日しか勤務できない状態に陥りました。当然、従業員に不安が広がり、会社全体の士気も落ちてきました。

「最大のピンチでしたが、逆に、これをチャンスに切り替えることができました。きっかけは、労働組合からの提案でした」と取締役の田畑隆昌さん。難局を乗り切ろうと国の教育訓練制度などを活用している中で、労働組合から、ひょうご仕事と生活センターが進めるプログラムに参加してはどうかと提案されたのです。とはいえ、「未知の取り組みで、『仕事と生活のバランスとは、一体どういうことだ?』からのスタートでした」と田畑さんは、当時を振り返ります。

部門を超えたコミュニケーション

最初は、専門家を講師に招いて管理職を対象にしたセミナーを実施し、コミュニケーションスキルなどを学ぶことから始めました。各部門から管理職が集まり、部門をまたいだ取り組みとなりました。部門間のコミュニケーションというのは、同社の長年の課題でもありました。同社は、工作機、計器、情報システム、計装システムの4部門で構成されていますが、業務内容は大きく異なり、部門ごとに〝全く文化の違うものづくり”を手掛けているのが特徴。部署が違えば、入社以来、全く交流がないということも普通の状態だったのです。

訓練実習の様子。みんなで「輪」になる大切さを学びました。

セミナーで、コミュニケーションスキルを身に付けることで、管理職同士が部門を超えて、会社の方向性について話し合う様子がしばしば見られるようになりました。その結果、部門間で協働して仕事を進めるケースも誕生し、効率よく仕事をし、残業をなくすという意識も広まってきました。

次に手掛けたのは、財務諸表などには表れない会社の特徴を資産として明らかにする知的資産経営報告書の作成です。まずは、従業員の持つノウハウや経験、取引先との関係構築、顧客満足度など、会社の強みと弱みを抽出していきました。

訓練結果は全員で共有。現状を確認することで新しい会社のスタイルを追求しています。

全国レベルの実力の発掘で社に誇り

さらに、中堅層の係長レベルでも同じ作業に取り組みました。その中で、今まで知られていなかった会社の魅力や強みが続々と発掘されました。例えば、水道メーター分野では、全国の1割のシェアを占めていること、また、自主検査だけで出荷が認可されているのは、兵庫県内で2社しかないということ。工作機械分野では、縦型のマシニングセンターの5台に1台は自社の製品であるということ。他にも次々と〝全国レベル”の実力が判明し、「田舎の小さい会社だと思っていたけど、実は、結構すごいじゃないか」との声が従業員の間で聞かれるようになりました。

「報告書を作る中で、部署を超えたコミュニケーションが生まれました。そして会社の強みを知ることで、社員の意識が確実に変わったのです」と田畑さんは分析。「一時期、『夢は会社を辞めること』と話していた従業員もいたのですが、最近では『家族に自慢できる会社にしていきたい』『世界で通用する機械を作りたい』との声も出るようになりました」。

今年度後半には、管理職、中堅層がそれぞれまとめた知的資産経営報告書を完成させる予定です。仕事と生活のバランスというと、福利厚生の充実、子育てをしながら仕事ができる環境などが注目されがちです。田畑さんは「それも大切です。だけど、それだけではない。まずは、従業員が、この会社で仕事をしていきたいと思い、ここで働いていることに誇りを持つこと」。同社の取り組みは、継続中です。

コミュニケーションスキルの取得で話し合いが増え、仕事がより効率化されています。

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