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業務と人の配置を見直し社員が働き続けやすい環境を整備

有限会社三晃商事(夢乃井)

所在地 姫路市夢前町前之庄187
事業内容 旅館業
従業員数 123人
冊子掲載 情報誌 vol.5 2010年秋
公開日 2010年9月1日

※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。

塩田温泉郷の「夢乃井」をはじめ兵庫県内で4つの旅館を営む㈲三晃商事。旅館の業務は一日の中でも仕事の繁閑の差が激しく、人の配置には頭を悩ませるところです。同社は3年前から業務の見直しに着手し、効率よく働ける仕組みを整備しつつあります。それが結果的に働きやすさにつながり、従業員の定着を促しています。

旅館業特有の課題に直面して

旅館は、宿泊客がチェックアウトするまでの朝の時間帯と、チェックインが始まる夕方以降の時間帯に業務量が集中します。チェックインの時間は、宿泊客から事前に予定を伝えてもらってはいるものの、その通りに来館するとは限りません。出迎えが夕食準備の時間帯と重なると、客室担当の従業員は対応に大わらわとなります。

「仕事柄、多くの人にとっては休みとなる土曜、日曜が忙しいため、せっかく従業員を採用しても続かずに辞めてしまうケースが多々ありました」と吉井啓二社長。おもてなしの心でかつ手際の良い接客対応力が求められる従業員が1人でも欠けると、カバーは大変です。

吉井社長は、従業員がより定着しやすい仕組みを整えるため、2 年前に「分業と協業を組み合わせた業務の見直し」に取り掛かりました。

業務を見直して仕事を平準化

まず、それまで客室担当が担っていた布団の上げ下ろし、部屋の清掃、食器洗いの3 業務を外部の専門業者に委託する外注化をスタート。夕方から朝までの宿泊勤務を廃止する一方、夕方の繁忙時間帯には接客業務のチームを「出迎え」と「食事の準備」の担当に分けて対応するようにしました。また、"お助け部隊" の役割も果たす業務オペレーション課を新たに設置。メンバーはフロント業務から宿泊客送迎の運転手業務まで一通りの仕事ができ、各部門で人が足りなくなったときには臨機応変に応援に駆け付けます。

「出迎え」に専念できるようになり、接客サービスの質の向上につながりました

これらの取り組みにより客室担当の残業が減り、仕事の平準化につながりました。「限られた時間の中で密度の濃い仕事ができるようになり、サービスの質も向上しています」と話します。

勤務ローテーションは、従業員の希望を聞いた上で1カ月ごとに開かれるシフト会議で確定。1 週間ごとにあらためてミーティングを開き、宿泊客数の状況や従業員の都合に合わせ見直します。事前に調整を図ることで、週に2日の休暇も安定的に取得できるようになりました。

4 年前に出産した予約係の小林由佳さんは、この柔軟なローテーション制度を活用している一人。予約係では24 時間誰かが常駐できるローテーションを組んでいますが、小林さんは子どもを保育園に送迎するため平日は午前8 時から午後4 時半の勤務を希望し、毎日曜は休日を取得できるようにシフトを組んでもらっています。「仕事も続けたいし、家族ともしっかりと向き合いたい。職場の同僚にも感謝しています」と笑顔を見せます。

予約係の小林さん。仕事と家庭を両立した働き方を実現させています

中国人研修生も受け入れ

同社では5 年前から毎年、中国からの研修生を受け入れています。年々、台湾や中国からの宿泊客が増加していることもあり、いざというときは通訳もこなす貴重な戦力です。現在研修しているのは5 人。「中国に戻ってホテルを経営したいという人もいれば、日本人のおもてなしを学びたいという人も。非常にやる気があり、日本人の従業員にもいい刺激を与えてくれています」と自らも研修を担当する吉井社長。

研修生の受け入れは多様性の重要さの理解にもつながっています。「これからは介護休業を取得する従業員も増えてくるでしょう。お互いの境遇を理解しながら認め合える会社にすることが、働きやすい会社につながっていくのでは」。その目は将来を見据えています。

日本人のもてなしの心も学ぶ中国人研修生

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